企業戦略論 戦略経営と競争優位

ジェイ・B・バーニー他の著書である「企業戦略論 戦略経営と競争優位 上」(以降、本書とする)を読了した。その概要を紹介していく。

本書からの学びについては、経営戦略の基礎を学ぶ -主な論点について-にて今後まとめていく予定だ。

概要紹介

本書は経営学を学ぶ学生や研究者の方々が教科書的に読む書籍であり、三部構成のうちの一冊となっている。

その三部構成の上巻として位置付けられる本書は、企業戦略に関する以下の内容が盛り込まれている。

  • 戦略および戦略経営プロセスとは何か (第1章)
  • 外部環境の分析 (第2章)
  • 内部環境の分析 (第3章)

これら3章は、経営戦略を学ぶにあたり基本かつ土台となるものであり、しっかりとおさえておきたい領域である。

戦略および戦略経営のプロセス

第1章では、そもそも戦略とは何かから始まり、戦略を策定するにあたっての一連のプロセスとはどういったものなのかを説明している。

内容も専門的な用語が少なく、容易に頭に入る表現で説明されていることから、他の経営戦略関連書籍よりも理解しやすいと感じた。

外部環境の分析

第1章を読めばわかるが、戦略を立てるにあたっては、企業の外部環境を分析する必要がある。

外部環境の分析では、SCPモデルという経営理論をベースに説明が展開されていく。

説明されている内容は、既学者にとっては際立って何か真新しいトピックがあるわけでは無い。

ただ、この章も現在の動向を基に説明がなされていることから、頭には入りやすいと思う。

例えば、人口動態の説明などは2020年付近の推移で説明されているといった具合だ。

内部環境の分析

本書の一番初めに、VRIOフレームワークに重要性について数ページ割かれているだけあり非常にわかりやすい。

内部環境を読むだけでも、本書を手に取る価値があったのではないかと思うほどである。

VRIOフレームワークを理解するにあたり、その本質を理解できるように問いの形から入る。これがVRIOを理解するにあたり助けになってくれている。

暗記ではなく理解するために、問いに立ち返ってVRIOとは何かを学ぶことができるのは、本書の利点だろう。

所感

経営戦略の教科書的な知識を得たいと手に取った一冊であるが、その期待を裏切らない内容となっている。

2020年版として改訂されるにあたり、事例も新しいものとなっていることから頭に入りやすい。ポケモンGOの事例なども紹介されている。

加えて、初学者でもわかりやすい内容を目指していることもあってか、説明が丁寧、かつわかりやすい言葉を選んで書かれている。何か一冊手にとって経営戦略の基礎を学びたいという方にとってはお勧めできる一冊である。

本書は各章の最後には要約が表され、問題が用意されている。残念ながら答えは無いのだが、自分の理解確認をするにあたっては有用な作りとなっている。

一方、本書は三部作の一冊であり、全体の中の一部を網羅している。そのため、もしあなたが内容は薄くても経営戦略全体を学びたいという方は別の書籍を選ぶ方が良いかもしれない。

とはいうものの、経営戦略を学ぶにあたってスタートとする一冊には十分オススメできる一冊である。