戦略の定義
「経営戦略の基礎を学ぶ -主な論点について-」の通り、経営戦略論に関する学びをまとめていきたいと考えている。
今回は「戦略の定義」についてをまとめていきたい。
戦略の定義
戦略の定義について、経営者の方や研究者の方により多様な表現をされていると思う。
今回は経営戦略の基本を学ぶという趣旨でまとめていることから、最も理解しやすかった表現を最初に引用する。
それは、世界標準の経営理論からの一節である。
戦略とは、「企業を取り巻く環境を前提に、業績(Perforance)を向上させるための、経営資源(resources)を使った、企業の行動・アクション(action、initiative)のこと」といえる、
世界標準の経営理論 (著:入山章栄)
複数冊経営戦略に関する書籍を読んだ中では、こちらの表現が最もシンプルでわかりやすかった。
自分の言葉で言い換えると、戦略とは、企業が業績を上げるために、自社の経営資源を用いて行う行動のことである、捉えることした。
この表現を戦略とい言葉の定義の起点とするつもりであるが、もう少し別の書籍の表現を見ていきたい。
やることとやらないことを決めることが戦略
以下は、戦略経営論からの記載となるが、上記の表現よりももう少し難しい表現となる。
戦略とは、コア・コンピタンスを開発し、競争優位を獲得することを意図した、統合され調整されたコミットメント(決意)と行動からなる。
戦略経営論 競争力とグローバリゼーション (著:マイケル・A・ヒット他)
この定義は、「コア・コンピタンス」とは何か、「競争優位」とは何かを理解をする必要がある。
どちらのワードも重要な表現であることから、別の機会にこの両ワードについては言葉の定義をまとめていきたいと思う。
戦略経営論においては、統合され調整されたコミットメント(決意)であるという点を強調しているような印象を受ける。
それは、戦略にはどういったものが書かれていないといけないかという点にも繋がってくるだろう。以下がその引用である。
選択された戦略は、企業が何を成し遂げようとするのか、また何をやるつもりがないのかを示している。
戦略経営論 競争力とグローバリゼーション (著:マイケル・A・ヒット他)
つまり戦略には、自社のリソースを用いて何を成したいのかが書かれているべきであり、その一方で、限られたリソースを有効に活用するために自社としてやらないについても示されている必要がある、ということになる。
競争優位を獲得できるかのベストベット
最後に企業戦略論からの引用である。
本書では、戦略(strategy)を、「ある企業が持つ、競争優位を獲得するためのセオリー」と定義する。
企業戦略論 戦略経営と競争優位 上 基本編(著:ジェイ・B・バーニー)
こちらで強調されている点は、戦略によって、自社が競争優位を獲得できるものでなければならないという点である。
それは、業界における競争が今後どうなるのかを仮説立て、その仮説に対する答えを出すということが戦略には求められるということであり、その最適な答えをベスト・ベット(最善の賭け)という言葉で表現している。
すなわち戦略とは、「業界内の競争がどう展開していき、それをどう利用すれば競争優位が獲得できるか」という問いに対して、企業が行う「ベスト・ベット(最善の賭け)」なのである。
企業戦略論 戦略経営と競争優位 上 基本編(著:ジェイ・B・バーニー)
今回のまとめ
以上が、戦略の定義についてであるが、敢えて引用を避けて、自分の言葉でまとめると以下の3点に集約される。
- 戦略とは、企業が業績を上げるために、自社の経営資源を用いて行う行動のこと。
- 戦略には、自社のリソースを用いて何を成したいのかが書かれているべきであり、その一方で限られたリソースを有効に活用するために自社としてやらないについても示されている必要がある。
- 戦略によって、自社が競争優位を獲得できるものではならない。
戦略とは、どの企業においても常時用いられる言葉であると思う。しかし、その言葉の経営学における定義を理解した上でその言葉を用いるのとでは、言葉の強さが異なってくるだろうと考えている。
各書籍によって説明されている言葉の表現は違えど、戦略といえばこうである、という中に集約される意味合いは上記3点に集約されるのではないだろうか。
今回は、ここまでとし、また次回以降、引き続き経営戦略の学びを深めていきたいと思う。
参考書籍について
参考書籍の一覧については、「経営戦略の学びに用いた関連書籍」に参照先の書籍をまとめている。
引用先を確認されたい方は、そちらを参照頂きたい。