ループ型・プロセス型のビジネスへ

本記事は、『PURPOSE パーパス 「意義化」する経済とその先』(岩嵜 博論、佐々木 康裕著、以降本書とします。)からの学びをまとめています。

本書はパーパスという言葉を理解したいと思い読み始めた一冊です。今回はループ型・プロセス型のビジネスへの変化についてをまとめます。

ループ型のビジネスへ

パーパスとは何か」や、「株式市場や資本市場へ」の話の中にもありますが、パーパス起点のビジネスにおいては、多様なステイクホルダーを意識してビジネスを行っていく必要があるます。

とりわけこれからは、環境や自然環境保護を視野に入れたビジネスプロセスを考えていく必要があり、それを透明化してステイクホルダーへ示すという事が重要になっていくようです。

本書においても、企業はただ「作って、売って、終わり」ではダメで、これからは「ループ型」のビジネスを展開する重要性を訴えています。

以下がその引用です。

企業はもはや「作って、売って、終わり」でじゃ許されずより大きな社会的責任を課せられつつある。

今後、メーカーは、製造・販売だけではなく回収までを視野に入れて自らのバリューチェーンを捉え直すことが求められていくはずだ。

こうした動きは既に始まっており、本書でもいくつかの企業の事例が紹介されています。

  • パタゴニア
  • IKEA
  • Cyclon

これらの企業は地球環境保護の重要性を認識しています。

通常、メーカーは売ったものを売りきりにして、壊れたら新しい商品を買ってもらうという考え方の方が、短期的な利益には貢献できるでしょう。

しかし、事例として紹介された企業は、作ったものを売りっぱなしにしないで、自分達が製造した商品を長く、大切に使ってもらうことを念頭にバリューチェーンを構成しています。

とりわけ、Cyclon社は、「On」という靴を売らずに利用してもらうという新たな営みで環境保護に貢献しています。

今後はこうした動きが当たり前になる社会がそう遠くない未来に来るのでしょう。そう思うと、非常に興味深い考え方だと感じていました。

プロダクトからプロセスへ

ループ型のビジネスにも関係しますが、ループ型のビジネスに関連し、本書でもう一つプロセス型のビジネスについても述べられています。

消費者は企業に商品を作ることだけでなく、社会課題に挑むことをも期待する様になる。より広範で規模の大きい社会課題に挑むにあたり、「プロセスを一緒に歩む」という要素も、今後はビジネスに付加されていくだろう。

このプロセスを売る、見せて稼ぐという考え方は、昨今話題になっており、「プロセス・エコノミー」という言葉も流行り出しています。

同名の書籍も読みましたが、内容は読みやすく興味深い内容となっています。別の機会にでも学びをまとめる予定です。

地球環境保護を念頭にしたバリューチェーンを消費者に理解してもらうためには、「これから作る商品はどうやって作られるのか」、「使われなくなった商品がどうなっていくのか」という、プロセスの透明化が必要になってきます。

本書ではURTH社やEverlane社といった会社の例が紹介されています。

こうしたプロセスの透明化を行うことで、消費者に環境保護への取り組みを認知してもらうという点と、商品が届く前後工程を理解してもらうことで、商品に愛着がわくようになり、よりその商品を好きになってもらえるという効果が見込めます。

今後はプロセスの透明化をすることで、プロセス自体が商品の価値となっていくということを本書から学ぶことができました。

最後にこの透明化における本書からのメッセージを引用して今回は締めたいと思います。

昨今、企業の意思決定プロセスや製造背景などをオープンに開示するなど「透明性」が非常に重要だと叫ばれているが、URTHやEverlaneの例は、「プロセス」そのものが価値になっていくことを表すものと言えるだろう。

これまで企業にとっては高機能の製品を作ること(What)、それをよりよい顧客体験やメッセージを通じて届けていくこと(How)が重要だったが、これからはパートナーとして信頼に足る人物(Who)か、自分と同じ価値観(Why)を持っているかがとても重要になっていく。