株式市場から新たな資本市場へ

本記事は、『PURPOSE パーパス 「意義化」する経済とその先』(岩嵜 博論、佐々木 康裕著、以降本書とします。)からの学びをまとめています。

私の中でパーパスという言葉を理解したいと思い読み始めた一冊です。今回はその中の新たな資本市場の誕生についてをまとめます。

ESGとSASB

パーパスとは何か」でもまとめた通り、これまでの株式市場においては株主の方向を見てさえいれば良いというような慣習が常でした。しかし、その転換点となったのがBlack Rockのラリー・フィンクCEOの投資家へのレターです。

「気候変動が会社の投資決定の主要な焦点になる。」と述べた。加えて、「ESGやパーパスが今後非常に重要視され、今後はその方針に則って投資対象の大幅な入れ替えも行っていくこと」とも明言した。

このメッセージは企業にとっても非常に影響力を与えたものだったようです。

このメッセージから企業がこれまで以上にESGに力を入れるきっかけとなり、気候変動対策をとっていない企業は批判を浴びるような風潮になっています。

SASBという新たな審議会

これらの流れを組み、新たな審議会としてSASBと呼ばれる審議会が発足されています。

SASBとは「Sustainability Accounting Standards Board サステナビリティ 会計基準審議会」と略称で、企業のESG情報開示のクオリティ向上と、中長期での投資家の意思決定をサポートすることを目的として生まれました。

企業はこのSASBの情報開示基準に沿った、サステナビリティ報告書を作成する必要が生じていることからも、ESGへの関心の高まりが伺えます。

参考として、日本取引所グループのホームページにSASB並びにESG情報開示の枠組みの紹介がされていましたので以下にリンクします。

マーク・ベニオフ氏の寄稿

ESGへの重要性が社会的に高まる中、起業家の意識も変わりつつあります。

本書でも例として記載されているのが、Salesforce創業者のマーク・ベニオフ氏です。

マーク・ベニオフ氏は『ニューヨークタイムズ』紙への寄稿で資本主義は死んでいるという強い表現を使い、企業が社会貢献をすることへの重要性を説きました。

以下に私の中にも響いた一節を引用します。

企業は二酸化炭素の排出を無尽蔵に続けることで、地球を危機的なレベルに追いやっている。

もちろん利益は重要だが、それ以上に社会も重要だ。今こそ「新しい資本主義」が必要となっている。公平で、平等で、持続的な資本主義だ。それは社会からむしり取るのではなく、逆に社会に還元し、ポジティブなインパクトを社会に与えていく。

マーク・ベニオフ氏は、利益重視の風潮から、社会貢献を重視する風潮を生み出しました。

短期的な利益を追求する企業よりも、長期的な視点で(利益を出しつつ)社会問題を解決していく企業が評価されるべきであるという考えです。

この考え方がパーパス経営にもつながっていきます。

社会への存在意義を考えることで、世の中の社会課題を解決することを意義化する企業は少なくありません。それを後押しするものとして、以下に引用をさせていただきます。

「パーパスの優先は利益を削る」という反対意見もあるが、リサーチが示しているのは、より広いミッションを持ち、それを自社の活動と紐づけている企業は、競合を超えるパフォーマンスを発揮し、より早く成長し、より利益を稼ぎ出すという事実だ。会社の敷地の中だけで、取り組みを止めてはならない。

企業の成功こそが、コミュニティを通し、社会をより正当なものとし、地球をより持続可能なものにする。こうしたサイクルを回し始める必要がある。

このマーク・ベニオフ氏の言葉は、パーパスとは何か、企業はどうあるべきかを考え抜かないと出てくる様な言葉ではないと私は思います。

マーク・ベニオフ氏の著書「トレイル・ブレイザー」で、考える時間を取ることの重要性も書かれていますが、この引用はまさに考え抜かれた言葉だと感じています。

そしてもう一つ興味深いのが、短期的な利益追求よりも長期的な社会課題解決を実践する方が結果的には利益を稼ぎ出すことができるというのは、私にとって意外な事実でした。

社会のためにパーパスを考える

今回の記事まとめで、社会のためにパーパスとは何かを考えることの大切さを学びました。

これからの世代を生きる若者世代は共感を重視しています。彼らに企業が追求したいパーパスに共感を得てもらうことで、顧客として、従業員としてその企業を支えてくれるようになるのだと考えています。

私自身も、今まで以上に社会課題に目を向けていく必要があると感じています。

関心のある社会課題を見出し、それに対しどう行動するか、何ができるかを考えることが第一歩です。これからは、少しずつでも関心を抱く習慣をつけていきたいと思います。