パーパスとは何か?

本記事は、『PURPOSE パーパス 「意義化」する経済とその先』(岩嵜 博論、佐々木 康裕著、以降本書とします。)からの学びをまとめています。

パーパス経営という言葉が浸透しつつあり、私の中でパーパスという言葉を理解したいと思い読み始めた一冊です。

今回は「パーパスとは何か?」についてまとめます。

パーパスとは何か?

本書ではパーパスとは以下のように捉えています。

パーパス = 社会的な存在意義

企業が何のために存在するのかを答えられるようにするために、パーパスを定義することが必要としています。パーパスの言葉の意味を説明するものとして、以下の引用がわかりやすいです。

パーパスは、日本語では目的という訳語が当てられることが多い。ビジネスの文脈で用いられる「パーパス」は、さらに踏み込んで「社会的存在意義」と捉えるのが適切だ。

企業が社会的な責任を果たす上で求められる「存在意義」は何か、企業は何のために存在するのかという問いに明確な答えを提示することが求められる。

非常に概念的で、パーパスを定義することは難しいかもしれませんが、企業の存在意義を明確にすることで、株主、顧客、従業員などに対し、その会社の存在を理解してもらい、さらには共感してもらうことが必要な時代になってきているのだと捉えました。

若者世代の関心としても、「自分で自分をコントロールしたい」を重んじる彼らにとって、自分達の価値観と共感できることは大切です。その企業に勤めることになったとしても、企業のパーパスと彼らの価値観がマッチしていれば、短期的な転職ということも減ってくると推察できます。

ステイクホルダー主義

パーパスという言葉が世界的にも有名になったきっかけとして、2019年8月にアメリカのロビー団体「ビジネス・ラウンジテーブル」が出した、パーパスに関する声明があります。

その中で述べられた、重要な点がステイクホルダー主義です。

ビジネス・ラウンジテーブルは長らく、企業は株主のために存在するという「株主資本主義」の立場を取り続けてきた。しかし、2019年のこの声明では、企業が説明責任を負う相手は、株主に加えて、顧客、従業員、サプライヤー、コミュニティを加えた5者であるとされた。株主は唯一絶対のステイクホルダーではなくなったのだ。

さらに本書では、この声明の背景には「持続可能な成長」という視点があるとしており、企業が継続的に発展するためには、社会に対する貢献が必要で、株主だけでなく従業員や地域コミュニティをケアすることこそが、長期的な利益につながるという考えがステイクホルダー主義のベースにあるようです。

私の中では、この持続可能(長期的)社会的な貢献という2点がパーパス経営を考える上でのキーワードかなと捉えています。

企業が持続可能な成長を続けるためには、株主以外にも顧客や従業員等に向けても視点を向けることが必要で、パーパス=社会的存在意義があるということは、社会的な貢献をしていることが求められるのだと理解しました。

パーパスを考える入口としての「Why」

最後にもう一つ興味深く読んだ箇所をご紹介します。それはパーパスを考える入口としての「Why」を重視するということです。その思考のきっかけとなっているのが、サイモン・シネックさんの主張です。

シネックの主張は「なぜそれを行うのか」というWhyから物事を始めることで、より多くの人々の心を動かすことができるというものだ。

シネックは、同心円の中心にWhyを置き、その周辺にHowとWhatを配置するモデルを「ゴールデン・サークル」と名付け、Whyを考えることから物事を始める重要性を提唱した。

参考までに、以下が本書でも紹介されているTEDトークになります。

本書でもこの視点とパーパスが必ずしもイコールになるわけではないとしてしますが、パーパスを考えるきっかけ、「入り口」としては機能するとしています。

Whyから考えるという点は、あらゆる所で役に立つ考え方であると思います。人を動かすにおいては、「なぜそれを行うのか」を理解してもらえないことには、相手が納得感を持って行動してくれません。

パーパスは企業の視点で物事を捉えていますが、個人の視点で捉えるのであれば、リーダシップを発揮する上での重要な要素になるものだと考えます。

この「ゴールデン・サークル」の考え方は対象とする視点を変えればかなりの応用が効く考え方ですので、学ぶことができてよかったです。

以上が「パーパスとは何か?」についてでした。

パーパスは非常に深い概念であり、パーパスを理解するのに書籍一冊だけでは足りないようにも思えます。機会をみて、パーパスについて考えている別の書籍にも目を通してみたいと思っています。