若者世代の関心を学ぶ

本記事は、『PURPOSE パーパス 「意義化」する経済とその先』(岩嵜 博論、佐々木 康裕著、以降本書とします。)からの学びをまとめています。

今日の社会でもパーパス経営という言葉が浸透しつつあります。私の中でパーパスという言葉を理解したいと思い読み始めた一冊です。内容は秀逸で、今日の社会状況も理解できる良書でした。

そこで、複数回に分けて本書からの学びをアウトプットしていきたいと思います。

今回は「各世代の関心の違い」についてまとめます。

年代ごとの世代の呼び名

まず始めに、年代による各世代がどういった呼び名で呼ばれているかを簡単にまとめます。本書に中心となる世代が中心です。

世代名概要
X世代1965年〜1980年代くらいの世代 (私の親くらいの世代)
ミレニアル世代1980年〜1990年代後半くらいに生まれた世代 (私の世代)
Z世代1997年〜2012年に生まれた世代 (今の子供たちの世代)

上記のうち、本書ではミレニアル世代、Z世代の特徴について書かれています。

多様であることがノーマル

アメリカ、中国、ヨーロッパなど世界中で、Z世代(・・・)やミレニアル世代(・・・)はジェンダーや人種、気候変動など社会課題への関心が非常に高い。

本書の関心の中心であるミレニアル世代やZ世代は、社会課題への関心が高く、その要因の1つがSNSの普及にあるとしています。

ミレニアル世代やZ世代の若者たちにとっては、SNSの活用は当たり前の社会となっており、自分の主張をSNSを通じて簡単に発信することもできますし、多様な人の意見を簡単に発見することもできます。

だかこそ、彼らの世代には、以下の引用があてはまるのでしょう。

彼らにとっては、「多様であることがノーマル」だ。

「X世代」から「ミレニアル世代・Z世代」へ

ミレニアル世代、Z世代のマーケットにおける影響力は年々高まっている。購買力を手に入れた彼女ら/彼らは、すでにマーケットとしても世界的に巨大なデモグラフィになっている。

世界的にみるとミレニアル世代、Z世代の市場を無視することはできません。本書ではアメリカの人口分布を紹介してくれており、最多層はZ世代、続いてミレニアル世代であることを表しています。

一方で、日本においては高齢化社会が深刻で、ミレニアル世代、Z世代の比率はアメリカほど高くはありません。しかし、それを理由に若者世代へのアプローチを怠ることは、「質」的に危険であるという示唆を与えてくれています。

若者世代向けのビジネスを行うことは、マーケットサイズという「量」の話であると同時に、次のカルチャーやビジネスのスタンダードを作る「質」の話でもあることだ。

スマホを通じて何でもできる現代では、ローカル・グローバルの壁も崩れつつあります。

高齢化社会だからと日本の「量」の観点にばかり目を向けてしまうと、「質」の面で遅れを取るという点が興味深いところかと思います。この「質」的観点を頭に入れておかないと、海外から生まれたサービスに国内のマーケットが簡単に奪われることになるだろうと本書では述べています。

以下がその引用です。

保守的な高齢者向けにビジネスを続けた結果、いつの間にか、海外から若者世代は向けに顧客体験や感性価値などが高度に作り込まれたプロダクトが持ち込まれ、国内のマーケットが一気に奪われる構図は、これまで何度も生まれてきた。

こういった意味でもミレニアル世代、Z世代の動向や無視することはできません。

自分で自分をコントロール

世代動向を学ぶにあたり、本書の中で興味深い点がもう一つありました。

それは、今の若者たちは「自分で自分をコントロールできる」を重んじるということです。

今の若者たちにとって、終身雇用で1つの会社で働き続けるという考え方はありません。それに準じるように組織への帰属意識も高くないという結果が調査によってでているようです。

その理由をわかり易い表現でまとめた言葉が以下の引用です。

こうした世代は、形やブランドより本質をより求める傾向にあり、多くの情報を手にしながらフラットな目で真贋を判断することにも長けているため、「会社や上司の命令には無批判にしたがうべき」といった意見には抵抗する傾向がある。

今の若者世代は、自分の感性や考え方に基づいて、金銭的価値よりもやりがいを重視するというのは、私の感覚とも一致します。

だからこそ、企業は「何のために存在するのか」を明らかにし、社会的存在意義をパーパスとして定義するのはこうしたところからも来ているのかも知れません。

次回の記事では、本書から学んだ「パーパスとは何か?」について踏み込んでみたいと思います。