両利きの経営とクリステンセン氏の主張の違い
※本記事は、『両利きの経営』(チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン著、以降本書とします。)からの学びをまとめています。
『両利きの経営』という本を読みました。
学びが多い書籍であったことから、複数回に分けてまとめていきたいと思います。今回は両利きの経営とクリステンセン氏の主張の違いです。
探索と深化は同時に行えるか
前回の記事にて探索と深化についてまとめました。クレイトン・クリステンセン氏の『イノベーションのジレンマ』が出版されて以来、破壊的イノベーションにおける以下の考えが幅広く合意されています。
破壊に直面した組織は、継続的な改善やコスト削減がしばしば成功の鍵となる事業で何とかして競争しながら(深化)、実験やイノベーションが求められる新しい技術やビジネスモデルを探究する(探索)必要がある
しかし、クリステンセン氏の探索と進化における関わり方と、本書における探索と深化の関わり方には明確な違いがあります。
探索と深化は同時に行えないという主張
クリステンセン氏は探索と深化は同時に行えないという主張をしています。本書からの印象は以下です。
クリステンセンは著書で「組織は破壊的変化に直面すると、探索と深化は同時にできないので、探索にあたるサブユニットをスピンアウトしなくてはならない」と主張している。
この主張がなされた頃は、その考えに従い、子会社化したりするなどして、新規事業の部門をスピンアウトするといったことが行われていたようです。
本業とは完全に別として事業を切り出しますが、これによる問題は、本業の強みを活かせないということでした。
完全に独立化してしまうと母体企業の強みである豊富な資産や組織能力などが活かせなくなります。そのため、スピンアウトした企業の中で独立して与えられた予算や人員で新規事業を成功に導く必要がある事から苦戦を強いられることが多くなる、というのが探索をスピンアウトする時の問題点になるということが顕在化しています。
両利きの経営における主張
一方で本書における主張は、その対照的となる主張を述べています。以下がその引用です。
過去と未来とが断絶されていると、新規部門の足を引っ張って成功を阻み、往々にして身動きのとれない状態に追いやってしまう。後述するように、既存組織に活用すべき資産があるならば(多くの場合はそうだ)、探索を担当する組織にもそれが利用できるようにしなければならない。
本書においては、まさにクリステンセン氏の主張の反対の主張をしています。私の捉えた理解で言い換えると、スピンアウトせずに既存組織側の資産を活用しながら探索をするべきだとしています。
本書ではこの主張を軸にして、様々な事例を用いて論理が展開されていきます。
興味深いのは成功例だけでなく失敗事例にも紹介されていることですが、機会があれば学びとして紹介できればと思います。