深化と探索

※本記事は、『両利きの経営』(チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン著)からの学びをまとめています。

『両利きの経営』という本を読みました。

その学びとして響いた箇所をまとめていきたいと思います。今回は本書の中でキーとなる深化と探索についてです。

クリステンセン氏の主張から

破壊的イノベーション

『イノベーションのジレンマ』で有名なクレイトン・クリステンセン氏は、破壊的イノベーションを以下であるとしています。

「破壊的技術」または「破壊的イノベーション」の特徴は、新しい顧客層の心をつかむ新しい製品やサービスの導入を通じて、新規市場を想像すること

本書では、『イノベーションのジレンマ』が1997年に出版されて以来、破壊の重要性やそのインパクトについて膨大な量の研究や論述がなされてきたと言っています。

その中で現在幅広く合意されていることが「深化と探索」です。

深化と探索

本書の引用しつつ、深化と探索についてまとめていきたいと思います。

破壊に直面した組織は、継続的な改善やコスト削減がしばしば成功の鍵となる事業で何とかして競争しながら(深化)、実験やイノベーションが求められる新しい技術やビジネスモデルを探究する(探索)必要がある

上記引用の前半部分が探索にあたる部分で、後半が深化に該当します。

言い換えの言葉としてわかりやすいのが、本書の冒頭で入山章栄氏の言葉です。まずは深化です。

探索などを通じて試したことの中から、成功しそうなものを見極めて、それを深堀し、磨き込んでいく活動が「深化」である。深化活動があるからこそ、企業は安定して質の高い製品・サービスを出したり、社会的な信用を得て収益化を果たすことができる。

としており、探索は、

自身・自社の既存の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうという行為が「探索」である。探索によって認知の範囲が広がり、やがて新しいアイディアにつながるのだ。

と説明しています。

一般企業で製造や開発に携わっている方はイメージがつきやすいかもしれません。そして探索をするための仕事か、深化を追求する仕事のどちらかに属するかと思います。私は探索側の仕事をしています。

企業の本業にあたる深化を続けるからこそ企業が成長しいくことができますが、その一方で深化だけを追い求めていくと、技術革新やまったく新しいサービスやプロダクトが生まれた時に生き残ることができません。

そこで、深化とは別に探索を行うことで新たなイノベーションを生み出そうというのが私なりの理解で、『両利きの経営』はこの両方を両立させるべきというのが本書の主張です。

深化と探索という言葉は、本書の根幹のような概念になることから、まずはこの2つのワードをまとめることで『両利きの経営』の世界に入り込んでいこうと思います。

今後も少しずつ、本書の学びをまとめていく予定です。