たとえ最下位でも
先日、市内少年野球の6年生選抜メンバーが発表されました。
その選出において、夏休み終了時点においては、長男も選抜メンバーの一人として選出頂きました。
選出頂いた指導陣の皆様へは感謝しかありません。本当にありがとうございました。
そして、長男に向けては、努力の成果が結果として表れたことについて、素直におめでとうと伝えたいです。
何回か選抜練習の長男の様子を見させて頂いた印象では、正直なところ選出は難しいと考えていました。
しかし、それを乗り越えることのできた背景には、長男の中での葛藤とそれを克服しようと努力した姿がありました。
忘れられない夏の思い出として、しっかりと文字に残しておきたいと思います。
輪の中に溶け込む難しさ
私が思うマイナス面の一番の理由は、長男の引っ込み思案な性格にありました。
選抜ではその場で初めて会う他チームの6年生達と、短期間でチームワークを形成する必要があります。
長男は初対面の子に自然と話しかけたり、すぐに仲良くなるといったことが苦手で、なかなか輪の中に溶け込むことができないでいました。
今回はその長男の性格が足を引っ張っていたように思えます。
長男は一歩ずつ着実に物事を進めていくタイプの性格で、こうした関係性作りにおいてもそれが当てはまる印象がありました。
学校生活や普段のチームでは、長期的に関係性を築きチームワークを育めますが、選抜のような短期間で集まるような場面ではそうはいきません。
長男の乗り越えるべき壁はそこにありました。
一日一人は新しい子と話すと決めて
選抜練習も後半に差し掛かったある日、私は上述したような問題意識を、長男にはっきりと伝えました。
長男自身もある程度自分の弱みを理解してはいたようでしたが、私から直接伝えられた時には、相当堪えるところがあったでしょう。
ですが、その現実と弱みに長男が正面から向き合ったことが、最終的な結果に結びついたようにも思えます。
私が長男へ伝えた後、親子で一緒に3つの決め事をしました。以下がその決め事です。
- 一日最低一人は新しい子と話す
- 他の子の名前をしっかりと覚える
- 同じ子とばかり一緒に居続けない
この決め事をしてからは、少しずつ良い方向に向かっていったと思います。翌日の練習では、今まで話したことが無い子とキャッチボールをしたようでした。
この日を境に、チームの輪の中に少しずつ入り出し、長男の振る舞いが良くなっていったように感じています。
その一方で、長男なりに努力をしたつもりでも、選抜メンバーの他の子はどんどん先にいってしまってる現実もありました。
ここからが野球としての競争です。
結果が求められる世界だからこそ
この夏休み期間中、二回練習試合が行われました。他市選抜メンバーとの練習試合と、メンバー決定日に行われた紅白戦です。
他市選抜メンバーとの練習試合では、第二試合(Bチームで構成された試合)での、二回の守備と一打席のみが長男に与えられた出場機会でした。
守りは守備機会がありませんでしたが、打撃面では相手投手からセンター前を放ちます。
その後、後続が続かず得点には結びつきませんでしたが、相手チームの背番号1番の子からヒットを放ったことで、長男への風向きが変わっていったように思えます。
ラストチャンスの紅白戦
そして他市との練習試合から一週間後、メンバー決定を左右する紅白戦が行われます。
長男は二試合行われた紅白戦でBチーム側で出場です。
以下が、打順とポジションになります。
- 一試合目は7番ショート(一〜三回の出場)
- 二試合目は1番ライト(フル出場)
一試合目は、ファンブルこそありましたが、守備では概ね大きなミスはありませんでした。
そして打撃面です。
第一打席は、エース候補の子との対戦で、カウント3−2から粘り四球を選択します。
状況的に何とか出塁をして欲しいといったシーンでの四球だったので、好意的な評価に繋がったのではないでしょうか。
その後の第二打席、ピッチャーは変わりますが、Aチームの投手相手に三遊間を抜くレフト前ヒット。
着実に得られた機会で結果を残すことができました。
後半、第二試合スタート
そしていよいよ午後からは、最後のアピール機会となる第二試合が始まります。
前回の打順から一番に格上げされ、外野にポジション変更している所をみると、そのオーダーには第一試合目とは異なる意味合いがあったのかもしれません。
第一打席はサードフライに終わりますが、印象的だったのは第二打席です。
1−1の同点、ツーアウトランナー二塁、ここで一打出れば勝ち越しというタイミングで長男に回ってきます。
この打席で長男が打った打球は、綺麗なレフト前ヒットでした。
二塁ランナーもヒット一本で帰ってくるつもりだったこともあり、見事なタイムリーヒットを放ったのです。
恐らくこの一打が決め手になったかもしれません。それだけ印象に残る一打だったと思います。
「選抜に選ばれたよ。」
紅白戦が終了し、いよいよ選抜メンバーの発表が始まります。
詳細は把握できていませんが、選抜の監督・コーチの方から子供たちへ一人ずつ名前が呼ばれたようでした。
その中には長男の名前もあり、大きな声で返事をしていたようです。
発表後、長男の口から直接結果を聞きました。
「選抜に選ばれたよ。」
長男からはその一言だけでしたが、選ばれた喜びを実感しながら、しっかりと私の目を見て伝えてくれたように思えます。
長男にとって、嬉しい結果となりましたが、メンバー決定日の紅白戦の結果が長男の選抜入りを左右したといっても過言ではありません。
野球という結果を出さなければならない世界で、必要な場面で一打を放つことができたのはこの夏の努力の成果でしょう。
野球漬けの夏休みでしたが、長男も頑張り通してくれました。
選抜練習で得られた大切なもの
夏休みを通じて、選抜練習に参加させて頂いた事は、本当に感謝という言葉しか思いつきせん。
技術面もそうですが、長男の心の成長を促すという意味合いで大変貴重な経験をさせて頂きました。
引っ込み思案で自分を表現することが苦手な長男にとって、少年時代のターニングポイントとなるくらい大切な経験だったさえ感じています。
長男の成長を見届ける上でも、忘れられない夏休みとなりました。
長男と共に悩み、努力した夏。
その成果が一旦の形となって表れたことは、親としても素直にうれしいです。
選抜メンバー内の順位公表はありませんが、正直なところ長男は下から数えたほうが早いでしょう。
仮に選ばれた順位が最下位だったとしても、スタート地点に立つことはできました。
ここからがまた新しい航海の始まりです。
また一段ずつ努力を重ねていくことに変わりはありません。
一歩、また一歩と、親子二人三脚で歩み続けていきたいと思います。
長男へ、本当におめでとう。