問題解決とリーダーシップ
伊賀泰代さん著の「採用基準」という本を読みました。
この本との出会いは、入山章栄さん著の「世界標準の経営理論」という本を読んでいる中で、本書の紹介があり、興味を持ったことがきっかけです。
本書ではリーダーシップの重要性を説いていて、非常に学びのある本であったことから、その中からの学びを複数回に分けてまとめていきます。
- 採用基準
- リーダーシップを学ぶ
- リーダーがなすべき4つのタスク
- リーダーシップを発揮するための基本動作
- 問題解決とリーダーシップ
今回は本書からの学びの最後として、「問題解決とリーダーシップ」についてまとめていきます。
問題解決とリーダーシップ
私は仕事をするなかで、「今以上に問題に対処する力があったらなぁ。」とないものねだり的な思考を抱くことが少なくありません。
そういった時に私がまず手をつけたのが、論理的思考などの書籍を読んだり、フレームワークにあてはめて考えてみたりするといったことでした。
こういった努力が悪いと言うわけではありませんが、本書ではそういったアプローチでは具体的な問題を解決するには至らないだろうということを、明確に述べています。
それは何故なのか、そのあたりから学びをまとめたいと思います。
問題は1人では解決できない
まず、世の中にある具体的な問題は1人だけでは解決できない問題が大半であるということがあげられます。
思考法やフレームワークにだけでは問題解決できないとした内容も含め、以下に本書の一節を引用させて頂きます。
問題に対処する力をつけたいと考えた人は通常、問題解決の手法を勉強しようとします。自分が問題を解決できないのは、そういったスキルがないからだと考えるのです。
しかし思考の手法やフレームワークをいくら学んでも自分の身の回りにある具体的な問題を解決することはできません。
なぜなら、世の中の大半の問題の解決には、他社やグループ、組織を動かすことが必要で、そのためにはリーダーシップが不可欠だからです。
この一節を読んで、私が問題解決をうまく行えないのは、この、1人では解決できない問題を解決に導くには、他の人の力をかりて行動していくことが必須条件であるということに気づけていないことが、原因であるのだと理解しました。
ある思考法を用いて問題を明確にしたり、フレームワークを利用して問題を整理するということは、問題解決の手助けはしてくれるかもしれませんが、解決はしてくれません。
複数の人を巻き込み行動を起こさない限りは、机上の空論で終わってしまいます。
だからこそ、リーダーシップを発揮し行動することこそが、問題解決には不可欠な要素なのでしょう。
逆説的に話せば、論理的に問題を分析したりできなくても、解決したい問題が何かを他者が理解し、共に行動を起こしてさえくれれば、その問題を解決に導くことは可能なのです。
問題解決の姿勢が次のリーダを生む
問題解決に向けた大切な点が理解できたところで、今度はその効能についてをまとめます。
リーダーシップを発揮し、問題解決する姿勢というのは他者にも影響をしていきます。特に若手や後輩達にとっては、かっこいいものとして映るのではないでしょうか。
そして、その憧れに近い感情が、また新たなリーダーシップを生み出していきます。
以下に、その好循環に関する一節を引用させていただきます。
誰もが積極的にリーダシップを発揮し、どんどん問題を解決していく姿を日常的に見る組織では、多くの人はリーダに憧れるようになります。
問題を解決していく人を見て、単純に「かっこいい!」と感じるし、自分もそういう力を身につけたいと思います。
・・・(途中省略)、
社会によいお手本の量が増えれば、それに憧れる人が増えるという好循環が起こり始めるのです。
身近にお手本となる人がいるということは、とても大事なことなのだと思います。
ひとりが積極的にリーダシップを発揮し行動をすれば、その姿は他者にも伝わり、やがてその人もリーダシップを発揮するようになるでしょう。
その好循環が社会にも好影響を与え、社会全体が良い方向に進むことになります。
そのようなサイクルを作り出すことで、次のリーダが生まれてくるのでしょう。
とても興味深い考えだと読みながら感じた点でした。
人生を切り開くリーダーシップ
最後にリーダシップを持ち、問題解決を継続していける人がどういった考えになっていくのかについて言及したいと思います。
本書では、
リーダーシップを持った人は、大樹に頼らなくても自分の力で状況を変えていけると考え始めます。
自分で人生を切り開いていけるという自身が、社会の規範から逃れた自由な発想につながり、守られた場所から出ていくことをリスクだと感じなくなるのです。
本書が伝えたい点として、私が捉えたのは、リーダシップがあれば会社に依存して働くという姿勢ではなく、自らがその会社で働きたい、働く理由があるから働くという視点へ変えることができるになるということです。
自分がなし得たい何かが、その会社にいることでできるからその会社に努めているのだという考えを持てれば、自分がその会社に属する意義は高まり、仕事を通じた社会への貢献度も高まるでしょう。
もちろん他になにかやりたいことが出来て、独立や転職という選択をしたとしても、自身のリーダシップの下、判断したその決定はきっと本人にとって納得のいくものであると思います。
リーダシップを発揮し、自分の力で物事を切り開いていくことができるということが、人生においてもプラスに働くということが、本書からの最後の学びでした。