リーダーシップを学ぶ
伊賀泰代さん著の「採用基準」という本を読みました。
この本との出会いは、入山章栄さん著の「世界標準の経営理論」という本を読んでいる中で、本書の紹介があり、興味を持ったことがきっかけです。
本書では主にリーダーシップの重要性を説いていて、非常に学びのある本であったことから、その中からの学びを複数回に分けてまとめていきます。
今回は、その始めとしてリーダシップとはどういったものなのか、私なりに捉えた理解を踏まえ、文字にしていきます。
リーダーシップを学ぶ
それでは本書からの学びをまとめていきます。
今回はリーダシップというものがどういったものかを考察します。
リーダシップの定義
そもそも『リーダシップ』という言葉がどういったものなのかを言葉にします。
ここだけは入山章栄さん著の「世界標準の経営理論」から引用させていただきまが、実際のところ、学術的な定義は完全には定まっていないようです。
人により、時代により、組織によりリーダシップに求められるものが変わってくる、
というのが要因のようですが、入山さんは、リーダーシップ 研究 の 第一人者 で ある ニューヨーク 州立 大学 ビン ガム 校 の バーナード・バス による 定義を引用なさっています。
リーダーシップ とは、 状況 あるいは メンバー の 認識・期待 の 構成・再構成 が しばしば 行わ れる( 2 人 以上 の メンバー から 成る) グループ における、 メンバー 間 の 相互作用 の こと で ある。
この 場合 リーダー とは「 変化」 を 与える 人、 すなわち 他者 に対して( その他 者 が リーダー に 影響 を 与える 以上 に)、 影響 を 与える 人 の こと を 指す。 グループ 内 の ある 人 が 他 メンバー の モチベーション・ 能力 を 修正 する 時、 それ を リーダーシップ と いう。( 筆者 意訳) 入山 章栄. 「世界標準の経営理論」より
あまり学術的な表現に慣れていない私にとっては難しい表現ですが、私が捉えた理解は、
- 他者や組織、社会に対し「変化」を与えるために、グループ内のある人が、他メンバーのモチベーションや能力を修正するために発揮するもの
といったところでしょうか。
私の捉えた言葉だけで捉えるのは難しいので、「採用基準」(以降、本書)の表現をお借りしながら、噛み砕いて考察をしていきます。
なぜリーダシップが必要か
なぜ、リーダシップが必要かという点について考えていきます。
リーダシップが必要な理由、それは、
- 世の中の問題を解決するには、自分だけでは成し得ることができないため、協力してくれる仲間を導き、仲間と力を合わせて問題を解決していく必要がある
のだと、私は理解しました。本書の言葉をお借りすると、
世の中には、「どうすればいいのか、みんなわかっているが、誰も何もやろうとしないために、解決できないまま放置されている問題」が溢れています。
・・・(途中省略)
自分の言動を変えるのは自分一人でできるけれど、自分以外の人の言動は、リーダーシップなくしては変えられないのです。
つまりは、世の中の問題を解決に導くには、他の人の力も借りて突き進んでいく必要があります。
そこで必要になってくるものが、リーダシップです。
問題解決スキルとリーダーシップ
ここで一つ疑問が生じます。実際、私も悩んだ人の一人です。
「世の中には問題解決を行うためのスキルがたくさんある。リーダシップを身につけるより、まずはそっち身につけるべきなのではないか?」
という問いです。
何か解決したい問題があり、解決策をまとめ上司にもっていくと、上長から、
「論理的思考が足りないから、君の言っていることがわからない。」
と言われ、解決策に着手する以前に却下された経験が多々あります。
こういった経験をたくさんした私は、
(もっと論理的に物事を伝える力があったら良かったなぁ・・・。)
とスキルが足りない事に対し、長い間悩むことになります。
ですが、この問題の本質は”そこ”ではないことに、本書を読むことで気が付くことができました。
思考の手法やフレームワークをいくら学んでも自分の身の回りにある具体的な問題を解決することはできません。
なぜなら、世の中の大半の問題の解決には、他社やグループ、組織を動かすことが必要で、そのためにはリーダーシップが不可欠だからです。
私はこの一節を読んで、体に衝撃が走ったことを覚えています。
本書を読む前の私は、自分のスキルや思考力の低さを理由に、問題解決できない理由を探していただけでした。
私が問題解決に至らない原因はとてもシンプルで、
単純に問題を解決したいという意志が足りていなかった
のだということに気が付きました。
どうしてもこの問題を解決したい、という思いやモチベーションがあれば、どんな批判的意見にも屈せず突き進んだはずです。
論理的に伝えることができなくても、上司や仲間に根気よく訴え続ければ聞いてくれたかもしれません。
繰り返しですが、単に私が問題を解決する意志が足りなかったのです。
自分の意見を論理的に相手に伝えたり、流行りのフレームワークを使って説明するといったことはあくまで、問題を解決するための手段です。
手段を考える前に必要なのが、
「本当に自分がこの問題を解決したいのか?」
という問いに答えることです。
これが『Yes』であるなら、そこにリーダシップはあると私は考えています。
最終的に、上記にように考えるようにして以降、私の中での行動や発言が変わっていったように思えます。
これが私が、リーダシップとは何かを理解できた瞬間です。
リーダーシップを身につけると何が良いのか
それでは、ここからはリーダーシップを身につけると何が良いのかについて考えていきます。
本書の言葉を引用しつつ、そのメリットをまとめます。
自分らしくいきることができる
リーダーシップが身につけば、他人の意見や考えに流されず自分の意志で行動することができます。
本書では以下のように述べています。
リーダーシップを身につけると、自分の仕事やライフスタイル、生き方のポリシーを、既存の組織や団体の器に合わせるのではなく、自分自身が実現したいと考える世界をそのままストレートに追求できるようになります。
引用の通り、生き方にも自分の意志が入るようになるため、自分がなし得たいと考える生き方を追求するための大きな心の支えになってくれます。
自分の意見や考えにそぐわない時には、しっかりと断れるようになりますし、反対に自分がこうしたいという意見をしっかりと伝えることもできるようになるはずです。
形として見えなくても、人生を豊かに生きる上で、これはとても大きなメリットだと考えます。
リーダーシップは世界を生き抜く人たちのパスポート
最後に、本書の中で私のお気に入りの言葉を引用します。
「リーダーシップ」は、これからの世界を生き抜く人たちのパスポートです。組織とは、所属し、守ってもらうのではなく、率いるものになるのです。
この言葉は、これからの日本社会を生きる方にとって、とても重要なメッセージだと思います。
VUCA時代と言われる今の世界で、終身雇用的に企業に支えられながら仕事をしていくことは、ほぼあり得ない時代になろうとしています。
そのような世界では、自分がどうありたいかを考え続けることが重要で、その答えによって働く会社を変えたり、働き方を変える判断をすることに対しても多様になっていくでしょう。
そういった社会を生き抜くにあたり、リーダシップは働き方に意味を与えてくれるパスポートになるのだと理解しました。
リーダーシップの考え方を根底に持っていれば、転職や独立の後押しをしてくれたり、たとえ終身雇用的企業に務めたとしても、企業が居場所を与えたから在籍するのではなく、自らの意志でがその場にいたいから在籍するという発想に変わることでしょう。
これだけでも大きな違いになるはずです。
「リーダーシップは世界を生き抜く人たちのパスポート」
リーダシップをそんな風に考えると、その通行券を手に入れたくなりませんか?
本書を読み学んだことで、私はリーダシップの重要性と必要性を少なからず理解することができました。
世界を生き抜くパスポートを手に入れるべく、私も必要な努力と準備をしていきたいと思います。