作業見積もりを加えたタスク管理
私は普段タスク管理ではTrelloと呼ばれるタスク管理ツールを利用しています。
これまで三回、タスク管理についてをまとめてきました。四回目の最後となる今回はこれまでのタスク管理方法に加えて、作業見積もりを加えることの良さをお伝えできればと考えています。
これまでの目次は以下の通りです。
- 第一回:タスクボードとは?
- 第二回:重要度・緊急度マトリクスについて
- 第三回:重要度・緊急度+タスクボードでのタスク管理
- 第四回:作業見積りを加えたタスク管理
今回は最終回で「作業見積もりを加えたタスク管理」についてまとめていきます。
これまでの振り返り
第三回の記事に、一般的なタスクボードからさらにTo Doを分解し、重要度・緊急度で分類することをしました。
以下がそのイメージ図です。
こうすることで、自分がやらなければならないタスクの優先度がわかりやすくしています。
たとえば、タスクA、B、Cは重要かつ緊急のタスクで、優先度高く行うべきタスクになります。
ここで一つの気にすべき事項があります。それは、
自分の一日の活動できる時間において完結できるかどうか
です。どんなに重要なタスクでも完了できなければ意味がありません。それをうまく測る上でも作業見積もりを行うことが重要になってきます。
各タスクの作業時間を見積もる
ここまでの準備で、自分がやらなければならないタスクは見えるようになってきました。
ここからは、自分が一日の中で活動できる時間を考慮しつつ、タスクを終えることができるように作業見積もりを行っていきます。
作業見積もり時のポイント
タスクに作業時間を付与するにあたり、重要なポイントが2つあります。一つずつ説明していきます。
1人でそのタスクをこなせるか
まず初めに重要なのは、そのタスクを1人でこなすことができるかという点を留意する必要があります。
これはタスクの粒度を確認するのに良い観点になります。
例えば、
- 部長向け収支報告書を作成する
というタスクを設定したとします。
もしこのタスクを行う上で上司や同僚への確認をするようなことがなく、即座に記載通りのタスクを実行できるのであれば問題はありません。
ですが、仮にこの報告書を作成するにあたり、
報告書のアジェンダを上司に相談する必要があったり、収支計算を同僚に計算してもらう必要がある場合、このタスクは完了できません。
そのため、「部長向け収支報告書を作成する」といったタスクをさらに分解する必要があります。
大きいタスクとしては「部長向け収支報告書を作成する」というタスクだったとしても、
- 報告書アジェンダを作成する
- 上司にアジェンダを相談する
- 収支計算を同僚に依頼する
といったレベルにまで分解します。ここまで分解されれば、全て自分のタスクとしてコントロールできる状態になっていると思います。
タスクを1〜2時間で完結できるレベルに分解する
タスクが1人でコントロールできる内容になったら、今度はその大きさに留意します。
私の経験上、一日に自分だけの時間として確保できる枠は最大2時間が限界だと考えています。
つまり、2時間以上かかるようなタスクであるなら、それは完成しないことを意味します。
そうした点を踏まえ、自分の設定したタスクを2時間以内、できれば1時間くらいで完成できる粒度にすることで、自分の設定したタスクの完成確率を高めます。
タスクボードでのタスクコントロールでは、大きいタスク管理は向きません。そういった意味でもできるだけ小さい粒度に分解してタスクコントロールを行うことをしていきます。
これが、作業時間を見積もるにあたり重要なポイントの2つ目です。
細かく見積もりすぎない
作業見積もりはあくまで作業にかかる目安時間ですので、細かくなりすぎる必要はありません。
「このタスクは1時間22分」
「このタスクは36分だ」
と分単位までの細かい見積もりにすることに意味はありません。
私自身は簡単に計算ができる15分単位での見積もりを行うようにしています。
作業見積を踏まえたタスク遷移
それでは上記を作業見積時間を考慮したタスクをタスクボードに割り当てていきます。
例としてA〜Hまでのタスクを分けたとすると以下のようになります。
これで、重要度と緊急度を考慮し、かつそれぞれのタスクの作業見積もり時間もわかるようになりました。
その日に可能な作業時間を考慮する
作業見積もり時間を考慮しないタスク管理である場合、重要度と緊急度で判断したタスクを作業中に割り当てます。
そのため、その日のタスク対応可能な時間で終えるのかという点が抜けてしまっています。
そこで、自分がその日に何時間タスクに割り当てられるかを確認します。
タスクは自分が行う粒度のタスクにしていますので、定例会議や他チームメンバからの相談を受ける時間などを除くと時間枠の中で行うことになります。
仮に、この日は3.5時間確保できそうだったとすると、3.5時間分のタスクを作業中へ移動します。
その一方で、緊急度の高いタスクFを今日のうちにできれば終わらせたいと考えたとします。
これらを考慮し、タスクを作業中(In Progress)へ移動させると以下のような状態になります。
今日はタスクAを1.5H、タスクCに2H、タスクFに1H割当完成を目指すことになりました。
ここまでの算段をその日の業務着手前、できれば前日のうちに済ませておくと着手が早くなります。
作業後に振り返理を行う
その日の作業が進むと、その日に作業開始したタスクが完了していくと思います。
タスクが完了したら、実際にどのくらいの時間を要してタスクが完了したのかを作業したタスクにメモしていきます。
例えば、以下のような実績になったとします。
上記の例では、
- タスクAは時間通りに完了
- タスクCは見積もり時間を超過したが完了
- タスクFは完了しきれずにTo doへ戻る
という状態になっています。
ここで重要なのは、
「なぜ見積もった時間と実績が乖離したのかを振り返る」
ということです。特に、
- なぜ作業見積もり時間を超過してしまったのか
- なぜ作業が終わらなかったのか
という観点はとても大事で、今後タスク管理をより効率的に実践していくためにも有効です。
理由はその日により様々かと思いますが、しっかりと理由と対策を考えることで次に繋げることができます。
この繰り返しが自分自身の成長につなげてくれます。
そして、よりマクロに管理できるようになればプロジェクトマネジメントにも応用できるようなっていくと考え、実践するようにしています。
タスクを予実管理する人は案外少ない
実はこの作業見積もりをタスク単位で行うというのは、「AI分析でわかった トップ5%社員の習慣」という書籍からの学びです。
本書を読むまで私のタスク管理は第三回の状態で行っていました。
しかし、新しいことに挑戦するようなタスクや不確実性が高いタスクが発生した場合には予定通り完了することができず、時間を無駄に消費してしまうようなことが多かったです。
その中で読んだ以下の一節がとても響いたことから、作業見積もりのタスク管理を始めたきっかけでもあります。
95%の一般社員と比較して特徴的であったのは、1つひとつのタスクに、完了までの見積もり時間とチェックポイントを設けていることです
私のタスク管理は、1時間程度で終わる単純なレベルに落とし込んでいるため、チェックポイントまでは設けていませんが、完了までの時間を見積もり、振り返りを行うようにしています。
私はタスクの管理が行えるのは、ビジネスマンとして必要な素地であると考えています。
今回タスク管理方法をまとめることで、私の中の暗黙知的な知識を形式知へと移転することができました。
タスクがコントロールできている実感が湧くと、自身の成長を感じられる要因の一つになります。
そういった意味からも、今後もより効率的なタスク管理方法を検討し続けることは続けていく次第です。