「表現」をするために

今回はビジョン思考という新しい思考法を推奨する、「直感と論理をつなぐ思考法」という一冊からの学びです。その考え方は実際のビジネスにおいても有用な思考法になりうると考えています。

今回は本書における読書からの学びや気づきをまとめる三回目となり、これで最後です。

前回の記事で、 「組換」の大切さの学びをまとめました。今回はその後のプロセス、「表現」についての学びをまとめます。

読書からの学びや気づき

ここからはビジョン思考における「表現」についての学びをまとめます。

前回までの記事から読みたいという方は、以下のリンクからどうぞ。

「表現」はビジョン思考の「最終プロセス」

自分の「妄想」をカタチにするために「組換」を行い、だいぶ最終的な姿が見えた所で行うのが「表現」です。

タイトルとして「最終プロセス」と書きましたが、 誤解の無いように書かせて頂くと、ビジョン思考における「表現」は「最終プロセス」であって、「最終プロセス」ではありません。

何を言っているんだと思われるかもしれませんので、本書から引用させて頂くと、

妄想・知覚・組換・表現はあくまでも「サイクル」であり、「円環」の一部分。「表現」は始点であり終点

です。

つまりは「妄想」から始まったプロセスとしては「表現」は最後ですが、一度「表現」を行なった後もサイクルとして回り続けます。

本書の中で心に響いた表現として、

「最終成果物」というものはあり得ない。存在するのはつねに「更新」を控えた試作品、「永遠のβ版」

という言葉がありました。

これまで考えてきた「妄想」をカタチにして「表現」するからこそ、他者から評価や意見をもらうことができます。

そしてその他者からのフィードバックを基に、また新たな「妄想」生まれ、新しい「表現」がなされていきます。

こうした点から、より良いモノを追求するのに終わりはないのだと学ぶことが出来ました。

本書では「表現」をするということに対しても、どうすれば良いのかという問いにも答えてくれています。

ここでは私が特に学びのあった三点を書かせて頂きます。

まず具体物(ビジョン)をアウトプットする

「表現」をするにあたって、具体物をアウトプットするというのは非常に重要です。

ここでいう具体物とは、箇条書きのメモのような文章ではなく、目に見える最終的な具体物を表します。

言い換えれば、それはプロトタイプであり、このプロトタイプがあるからこそ、アイデアをブラッシュアップしながら、同時に実現化に向けて歩き出すことができます。

「とりあえずPC」の惰性を断ち切る

そしてもう1点、これは興味深いと思ったのが、PCから始めない点でした。

ビジョン思考では 右脳モードと左脳モードを往復するという性質を持つので、いきなりPCから始める進め方とは相性が良くありません。推奨しているのは手書きです。

騙されたと思ってまずは手書きから始めましょうと言って下さっています。

ビジョン思考を習得するためにも、推奨された考えに基づいた行動をするがいいかなと思います。

手書きから始めたら、図やイラストのスケッチ、ポストイットを使った可動式メモを取り入れて表現するのがビジョン思考です。

実は私も本書を読んだ後、100円ショップに赴き、大きめのスケッチブックとポストイットを購入してきました。

今では私の机の上に欠かせない存在になってくれています。

「私にも手伝わせてくれませんか?」と言い出すレベルまでを目指す

「表現」をしてみたら、さらによい「妄想」生み出すために誰かにフィードバックをもらうことが大切です。

では、フィードバックをもらうために生み出した「表現」のレベルはどの程度であるべきなのでしょうか。

本書が推奨する「表現」されたものの完成度は、

「私にも手伝わせてくれませんか?」

と言い出すレベルまでを目指すべきとしています。

「表現」された内容が、相手の好奇心をくすぐるレベルでないと、相手からの協力は得られません。

とすると、「ほう、それは面白いね」というまでのレベルを目指すのではなく、その一つ上のレベルの「表現」を目指すべきです。

ここでもう一つ重要な問題が生じます。

それは自分が「表現」したモノを、誰に見せるべきかという問題が残ります。

本書ではそこにも答えてくれています。引用させて頂くと、

「いいアイデアを思いついたら、まずはほめてくれる人、新しいもの好きな人、ノリのいい人に話せ」

と言っています。

企画をポジティブに受け止め、気楽に相談ができる人に伺うの良いということですね。

気軽に相談にのってもらえる方であれば、高すぎるレベルも求められる事も、せっかく考えた表現を否定されるリスクも少ないですから、目安として一番合理的だと感じました。

ビジョン思考は新しい物事を考える背中を押してくれる

ここからは私の私見ですが、本書を読んで思ったのは、ビジョン思考は何か新しい物事を考える背中を押してくれる思考法であるということです。

イノベーションは突拍子もない所から生まれません。

何かと何かの要素に「組換」を与え、そこから「新結合」を起こすことなんだと学んだ後には、それなら私にも何かできるのではないかと思わせてくれるようになりました。

何か新しいモノを生み出したいのだけれど、自分には無理だと思ってしまっている(私のような)人に勇気を与え、次の一歩を与えてくれる素晴らしい一冊だと思います。

本書を読み終えて

本書はビジョン思考が何故必要なのかという背景から始まり、他の思考法との違いも説明しつつ、ビジョン思考の特徴とその思考の仕方と具体的な方法論まで言及して下さっています。

繰り返しになりますが、本書は新しい物事を考えるための背中を押してくれる一冊だと私は思っています。

何か新しいモノを生み出したいのだけれど、一歩踏み出せない人に勇気を与えてくれる素晴らしい一冊です。

たくさんの方に読んでもらいたい一冊だと思った一冊でした。