信じる力

『信じる力』という本を読了しました。私の地元、千葉の有名な高校にて高校野球指導されている方の一冊は、たくさんの学びを与えてくれた一冊でした。

本書を読もうとしたきっかけ

少年野球を指導している立場として、甲子園へ子供たちを導く高校野球の監督をなさっている方が、どのように考え行動し、子供たちを成長させているのかということは、学ばなければならないことの一つだと考えています。

その中で一つでも学びを感じ取り、少年野球の現場へと落とし込むことができれば、それだけでも変化が生まれるのではないかと思っています。そういった考えのもと本書を手に取りました。

著者について

持丸修一(もちまる・しゅういち)さんという方です。

4つの高校にて高校野球指導をされており、2007年12月からは専大松戸にて指導されています。その4校すべてで甲子園出場を果たされたという素晴らしい実績を持たれた方です。

教え子の中にはプロに選出された方も多く、美馬選手や高橋礼選手など、球界を代表する選手をプロへ送り出されています。

読書からの学びや気づき

ここからは本書からの学びや気づきをまとめていきます。本書から野球指導に関わることだけでなく、人生を豊かに生きていくための学びを得ることが出来たように感じています。

  • 今回のコロナ禍の経験をプラスに持っていくか、自暴自棄になってマイナスにしてしまうかは、自分の取り組み方次第だ。
    • 悩んだ時、カベにぶつかった時に、周りに助けてもらうことは当然あっていいことだが、最終的に自分の背中を押すのは自分しかいない

      本書全体を通して、他人に依存せず自分ときちんと向き合って生きていくべきということを、一つのメッセージとして書かれているように感じました。どういった状況に置かれたとしても、その状況を乗り越えるのは自分しかいない。そういった事を教えてくれたように思えます。
  • 「(甲子園は)天狗にも、生意気にも、謙虚にもなれる場所。でも甲子園の良さは、実際に行ってみなければわからない」
    • 甲子園で活躍して天狗になる選手もいれば、上には上がいることを知って、「おれはまだまだだ」と謙虚になる選手もいる。
    • 大きな舞台を踏めば踏むほど、多感な高校生は人間的に成長することができる

      甲子園という場所は高校生にとって大きな成長機会になるということを改めて感じました。限られた人しか成し得ない事を成し得たからこそ見える景色がある、というのはそのとおりだと思います。だからこそ、指導する立場としてはその景色を見せてあげるために努力を重ねなければならないと感じました。

      そしてその一方で、実際に成し得た経験を持っている人に対しては、自分を律しその栄光に奢ることなく成長を続け、過去に縛られない生き方をしなければならないぞ、ということも伝えてくれています。深い一文だと感じました。

  • 勝つことによって負けた悔しさを覚える
    • 「負けから学ぶ」と言われるが、ずっと負けっぱなしでは、人間的にはなかなか成長していかない
    • 勝った経験をしてこそ、勝者になったときの気持ちや、勝者のふるまいがわかってくる。勝つ喜びを知ってこそ、負けたときに本当の悔しさが生まれてくる

      私もこの考え方にはとても共感を覚えました。試合に勝つからこそ楽しいと感じることができますし負けることが悔しくなります。
      野球は勝つために練習をします。負けるために練習をする人はいません。だからこそ、負けから学ぶことができるのだと考えています。良い言葉を学ぶことが出来ました。
  • 野球をやるのは指導者ではなく、子供たち自身だ。ならば、本当の厳しさとは、選手自身が自分で目標を設定し、その目標に向かって妥協なく取り組むことではないか
    • 自立した人間ほど24時間を意味のあるものにしているはず。楽な方に流されそうになっても目標実現のためにあえて厳しい道、困難な道を選ぶ決断力を持っているのだと思う

      プレイヤーズファーストを重んじ、自立を促す指導をするというのは私の目指すべき指導感です。まさにそれを体言なさっているのだと考えると本当に素晴らしいと思います。私も実践できるよう努力を重ねたいと思います。
  • 「これが絶対!」と言えるフォームはない
    • 投げ方、打ち方は人それぞれに個性があり、指導者が細かい動きを教えることによって、その個性が失われていくことだってある。最終的に何を選ぶかは本人に任せる

      私もこの考え方の通り、怪我のリスクがあったり明らかにおかしい動作をしている時以外は極力本人の感覚に任せるようにしています。指導者は選択肢を与えて子供達が選ぶ。私の感覚がその子の感覚に合うとは限りません。良く犯してしまいがちなミスでもあるので気をつけたいと思います。
  • 言葉によって人は育つ一方で、言葉によって人は傷つき、悩み、悲しむ
    • 「自分が言われたらどう思うか」この考えを少しでも持てれば、暴力的な言葉を吐くことはなくなるのではないか
    • 言葉に責任を持つ。そうすることが、仲間を増やし、人に好かれることにもつながっていく

      この言葉にはとても共感しました。言葉表現によって捉え方が変わってしまったり、簡単に相手を傷つけることもできます。最近は否定言葉を使わない言葉表現にすることを意識する工夫をしていますが、本書を読んで、より一層自分が発した言葉に注意を払い、かつ責任を持とうと思いました。
  • 「責任」が人を育てる
    • レギュラーにはレギュラーの責任がある。背番号1をつける者には、エースにしかわからない責任がある

      私もそう思います。役割や立場が人を成長させることもあると私は思います。背番号1の重み、キャプテンの役割、そういった一つ一つが子供たちを成長させてくれる機会を与えてくれるものと考えています。

本書を読み終えて

全体的な所感として感じたのは、本書を通して、野球指導に対しての学びだけでなく、著者の方の人生訓も合わせて学ぶことが出来たように思えます。それは野球関係者のみならず万人に通じる考え方であり、人生を生きていく上で大切な考え方が豊富に詰まっているように感じました。

もちろん野球指導に携わる方も、色々な角度から多くのことを学べる一冊です。野球の技術論や精神論を学ぶ一冊として読まれても良いですし、偉人伝として読んでも良い一冊かとも思います。

学びの多い一冊でした。良い本と出会うことが出来て良かったです。