二つの知(「暗黙知」と「形式知」)
「暗黙知」と「形式知」という言葉を学びました。
この「知」の使い分けを理解しておくと、色々なシーンにおいて役立つのではないかと考えています。今回はその学びの整理したいと思います。
暗黙知と形式知
まずは暗黙知と形式知の言葉の違いについて整理します。
暗黙知とは
暗黙知という言葉に対する私の理解は、
「言葉にできないけれど、これまでの経験などで培った知識、経験、及び個人の勘」
などを表します。書籍の言葉を引用させて頂くと、以下のように定義づけられているようです。
「言語・文章・記号などでの表現が難しい、主観的・身体的な経験知」のこと
とされており、その中でも2種類に分けられるとされ、ひとつ目は
特定の経験の反復によって「個人の身体に体化」されたもの
を表します。
これはスポーツや楽器の動作などが良い例で、野球でいうとバッティングやピッチング技術などはまさに暗黙知の塊だと考えられます。
言葉には言い表せないが、感覚的にこうすると良いという「知」のことです。
そして、もうひとつは
個人そのものに体化される認知スキル
です。今までのその人自身の経験等を通して感じる、直感やひらめきに基づく「知」であり、言葉で表すことが難しい「知」を表します。
形式知とは
続いて暗黙知の対となる言葉である、「形式知」についてです。形式知とは、
言語化・記号化された知
のことであり、言葉や文章、さらには数式・図表、プログラミング言語などで表すこともこの形式知に当てはまります。
先ほどの暗黙知もうまく言語化され、言葉や文章等に落とし込むことができれば、それは「形式知」へと変化していくことになります。
二つの「知」を考察する理由
私がこの二つの「知」を考察する重要性を感じたのは、二つのシーンがきっかけになっています。
ビジネスにおける形式知化の重要性
私は普段ITエンジニアとしてITシステムの維持や運用といった業務を行なっています。
すっごくざっくり言いますと、
完成したITシステムをユーザーに利用してもらい続けるために、その裏でヒトがやらなければならないような仕事を、いかに安く、正確に行うにはどうしたらいいか
ということを考えています。
ITシステムでは、アプリケーションの不具合やデータの不整合、マスタデータの設定不足などといったシステムトラブルが、リリース(利用開始)された直後に最も多く発生し、時間が経つにつれて収束していきます。
こうした数々の問題に対処していった経験や知識は、その対応者の暗黙知として培われていきます。
しかし一般的にはシステム構築に関わった方や、他システムで同様の経験を多数した方がリリース初期には関わることが多いため、スキルが高く単価が高い方が対応することが多いです。
そのような方が今後も同様の対応し続けるということは、
- 優秀なエンジニアをよりチャレンジングなプロジェクトへアサインする機会を逸する
- 該当システムの運用コストが高止まりし運用費が高いままとなる
というような事が発生することから何らかの対応する必要が生じてきます。
近年の傾向としては、スクリプトを作ったり、RPAやAIを利用して自動化するという方向に進んではいますが、まだまだ浸透していません。(スクリプトを作ったりRPAのシナリオを作るということ自体も形式知化かもしれません。)
そういった面からも、暗黙知の形式知化を進め、過去に行なった問題解決を誰にでも行えるようにするれば、より効率的にビジネスを進められるのではないかと考えています。
感覚に頼らないスポーツ指導
そしてもう一点は、スポーツ指導においてです。
私は仕事の傍らで、休日は少年野球の指導を小学生に行わせて頂いています。その中においても暗黙知から形式知化の重要性は感じています。
指導する相手は小学生であり、一定レベルに達するまでは指導者が関与して指導するスタイルを取る必要があります。スポーツコーチング型PMモデルで言うのであれば「指導型コーチング」が必要な子供達です。
ですが、指導者がボランティアで行なうような小学生のスポーツ指導の現場では、暗黙知だらけの中で指導しているというのが現状であるように思えます。
スポーツでの動作は言葉に表しにくいものですが、そうだからといって、わかりやすい言葉を使って指導しなくていよいということにはなりません。可能な限り、感覚的に行う動作を言語化して説明しないと相手には伝わりません。
そういった現場に身を置くものとして、指導者が持つ暗黙知をいかに形式知化することが重要ではないのかということ感じています。
これが二つ目の理由になります。
形式知化できる方法を今後考察
ビジネスにおいてもスポーツ指導においても、暗黙知の形式知化の重要性を認識したところで、次のステップとして、
「どうすれば暗黙知を形式化できるのか?」
という問いを設定して、今後も考察していきたいと思います。
継続的に考えていく事が重要と捉え、今後も考察を続けて行くつもりです。
参考
この記事は以下の書籍からの学びをもと書いています。
- 世界標準の経営理論