チームを変える習慣力
今回の記事は「チームを変える習慣力」という本を読んだ学びをまとめます。チームマネジメントに悩む私にとって、とても学びのある一冊でした。
本書を読もうとしたきっかけ
「チームをマネジメントするということはどういったことなのだろう?」
「私にとって一番しっくりくるチームマネジメントというのはどういった方法なのだろう?」
これらは、ここ最近の私が頂いている悩みであり、かつ乗り越えるべき課題と考えています。そういった中で、何か学びのある良い本は無いかなと手にとった一冊が、この「チームを変える習慣力」になります。
著者について
三浦 将(みうら しょうま)さんという方で、株式会社チームダイナミクスの代表取締役の方です。人材育成や組織開発のコンサルタント/エグゼクティブコーチをされている方です。
読書からの学びや気づき
ここからは本書からの学びや気づきを書かせて頂きます。
- タテの関係とヨコの関係
- タテの関係:相手と「この場合は自分が上」、「この場合は自分が下」という線を引いた位置関係を持とうとすること
- ヨコの関係:人をヨコ同士の関係として見ること。ポジションの上下関係はあるけれども、人の関係はあくまでヨコ同士であるという考え方。「相手を一人の人間として認める」という承認と尊重の気持ちがベースとして存在する
- 健全なマネジメント時代の到来へ
- マネジメントの効果性があげられない原因は旧世代のマネジメントの影響を受けているから
- 「不安と恐怖を与えて人を動かす。そして生産性を上げる。」
- 多くのマネージャーは労働者を支配し、怯えさせて高い生産性を生み出してきた
- 時代は変わり、インターネットの到来により世の中に出回る情報量は増加し続け、会社の中での情報格差も急速に縮まってきている
- 社会全体の人材の流動性は年々増してきており、不安と恐怖のマネジメントの環境に耐え続ける以外の選択を選びやすくなっている
- マネジメントの効果性があげられない原因は旧世代のマネジメントの影響を受けているから
- Googleのアリストテレスプロジェクト
- 2012年に開始した労働生産性向上計画のコードネーム
- 強い成功因子として浮かび上がったのが「心理的安全性」
- 「心理的安全性」とは
- 「関連のある考えや感情について、人々が気兼ねなく発言できる雰囲気
- 心理的安全性のあるチームでは、発言するごとに不安や恐怖による心理的抵抗が少なく、はっきり意見を言っても拒否されたり、罰せられたりすることはないという安心感がある
- 心理的安全性のある環境を作ろうと思っても、タテの関係を保ちながら心理的安全性を作り出していくのは困難
- 心理的安全性が高い環境というのは、コーチングが十分機能する状態と同じ
- 心理安全性については「こちら」の記事でも書かせていただきましたが、現代社会のチームマネジメントにおける、非常に重要なキーワードにある言葉だと思います。私は少年野球のコーチをしていますが、少年野球における指導においても十分に効果を発揮してくれると考えています。
- レッテル貼りをやめよう
- 上の立場の人間が、下の立場の人間を「この人はこういう人」という決めつけをしてしまうと、そういう人であるという前提で、言動や行動が行われるようになり、その影響で下の立場の人が自然とそのようになってしまう
- レッテル貼りについても、一度記事として紹介したことがあります。ご興味がある方は「こちら」から御確認下さい。このレッテル貼りを学んでからは、「この人はこういう人だ。」ということを考えないようにしています。特に子供達の指導においては意識していると思います。
- 上の立場の人間が、下の立場の人間を「この人はこういう人」という決めつけをしてしまうと、そういう人であるという前提で、言動や行動が行われるようになり、その影響で下の立場の人が自然とそのようになってしまう
- リーダーシップは状況によって変化させていくもの
- VUCAの時代(VUCAって何?という方は「こちら」をどうぞ)と言われる今の時代においては、ビジネスは不確実で曖昧。そんな状況の中では通り一辺倒のリーダーシップスタイルでは通じなくなっている
- 「リーダーシップは状況によって変化させていくもの」ということを理解しておかなければならない
- 昨今のビジネスシーンではサーバント型リーダーシップを求められる状況のほうが多くなる傾向にある
- このあと調べましたが、「サーバントリーダーシップ」という本があるようで、かなり前からサーバント型リーダシップの重要性は説かれてきたようでした。いつか読んでみたい一冊です。
- 変化を起こすために
- 潜在意識の抵抗を受けることなく変化を起こしていくためには、急激な変化を起こそうとするのではなく、習慣化によって、小さな変化を連続して起こしていく方法が有効
- 大切なことは、本当の望みや作り出したい未来が何かであり、変化の過程において一時的にどう見られているかではない
- 「バカになって取り組め」と自分に言い聞かすことは、自己改革を促進するキーとなる
- すべては傾聴から始まる
- 本質的な傾聴ができないコーチに良いコーチはいない
- 笑顔でうなずいて相槌を打ちながら聞いていても、自分モード(意識が自分に向いている状態)に入っていたら傾聴している状態とは言えない。相手への尊重や承認を持ちながら、相手モードで聞いて初めて「傾聴している状態」といえる
- 私も時々、相手の話を聞きながらタイピングをしていたり、全然異なる作業をしていたりということがあり、この部分を読みながら、そうした行動をしていたことを恥ずかしくなりました。特に1 on 1ミーティングにおいては、他の全作業を止め、相手との対話をしっかり行うようにしています。
- タテのノリの上司への対処法
- タテのノリの上司を一方的に否定しない。大事なことはその上司に対しても、ヨコの関係をつくることを日々試みること
- 「こういう人は一生タテのノリだ」というレッテルは貼らず、「本質はヨコの関係でいたいはず」という承認を持って接する
- 人は急には変わらないが、日々の努力は確実に影響を受けている
- 上司のタテのノリに注目し続けるのではなく、自分自身の自己改革を確実に進め、チームの状態を良くすることに集中することがいつかボディブローのように効いてくる
- こういう人に対してしっかりとヨコの関係を築けたら、それは本物になった証拠であるし、人間力が格段に成長した証拠である
- ここの内容は、ヨコの関係をこれから築くこうとする私にとって、勇気を与えてくれたように思えます。正直なところ、タテの関係を好む上司というのは少なくない印象です。そういった方へもめげずに挑む勇気を与えてくれました。
- タテのノリの上司を一方的に否定しない。大事なことはその上司に対しても、ヨコの関係をつくることを日々試みること
- 自己開示のパワ-
- 自己開示とは、あなたが知られたくないと感じるあなた自身の弱みや欠点を、勇気を持って人に伝えること
- 自己開示をすることで「他人に弱みを見せる強さ」を身に付けていける
- 成功するリーダーは、自分の弱さをさらけ出し、自分が他のメンバーに頼っていることを素直に認識し口にする
本書を読み終えて
本書は私にとって、「心理的安全性」という言葉に興味を持たせてくれたきっかけになった本です。
そして、「チームマネジメントをしなければならないけれども、高圧的な上司の真似はしたくない。でもどうしたらいいんだろう・・・。」
そういった悩みを持った、私に一筋の光を与えてくれました。正直なところ、本書を読む前の私と、本書を読んでからの私では、部下や同僚、上司との関わり方もかなり変わったように思えます。まさに現在進行系で本書の学びを実践しているところで、少しずつ他の方にも影響を与えることができ始めているのではないかなと感じ初めているところです。
ヨコの関係を築くというのは、言葉で言うのは非常に簡単ですが、実践し効果を感じるには時間がかかります。ですが、時間をかけてでも行ったほうが良い振る舞いであると考えています。
変化の多い「今」の時代にあったチームマネジメントを実践しようとお考えの方にとっては、本書は間違いなくその助けとなってくれる一冊です。とても学びのあった一冊でした。