野球を科学する
今回読んだ一冊は、エビデンスに基づき野球を科学的に学ぶことができた一冊です。
その学びをご紹介させていただきます。
本書を読もうとしたきっかけ
基本的に少年野球に役立ちそうな本は読むようにしており、本書もその一冊となります。
私は野球における過去の実績が何かあるわけではありませんので、新しい情報をアップデートし、子供たちの成長に役立つ「何か」を見つけるようにしています。
著者について
笠原政志(かさはら・まさし)さんという方です。
NPO法人コンディショニング科学研究所理事、JSCハイパフォーマンススポーツセンターアドバイザーなどを務められている方です。アスレティックトレーニング、コンディショニング科学を専門とされています。
読書からの学びや気づき
本書は野球指導者にとっては学びになる内容の宝庫で、ためになる情報がたくさん書かれています。今回はその中でも特に学びのあった箇所に絞り書かせて頂きます。
- スポーツ選手の疲労回復の基礎知識
- スポーツ選手にとっての疲労とは「作業能力が低下すること。多くの場合は疲労感を伴う現象」と定義づけられている
- 作業能力 = 選手個々が有する競技パフォーマンス
- 5つの身体的疲労
- エネルギーの枯渇
- 筋肉への疲労物質の蓄積
- 筋ダメージや筋肉痛
- 生体内の恒常性のアンバランス
- 脳の疲労
- リカバリーにおけるキーワードは「栄養補給」と「柔軟性改善」
- スポーツ選手にとっての疲労とは「作業能力が低下すること。多くの場合は疲労感を伴う現象」と定義づけられている
- 睡眠の質と量
- 8時間未満の睡眠では不十分、8時間がボーダーライン、9時間以上が高校生世代には最適
- スポーツ外傷・障害と睡眠時間との関係(小学生対象)
- 睡眠時間8時間未満でケガをした子は65%、8時間以上でケガをした子は31%で明らかに睡眠不足の子のほうがケガをしている
- アイシングの効果をより高めるために
- 近年アイシングには賛否あり、中には投球後のアイシングを拒む投手もいる
- 応急処置のアイシングとトリートメントとしてのアイシングを分けて考えなければならない
- 投球後に炎症症状があり・なしによってアプローチを変える
- 投球後に肩肘の炎症がある場合には、それを鎮静化するためにアイシングを実施するのが望ましい
- 肩肘への炎症症状がない選手には、疲れを除去するようなアプローチが必要で、軽運動やストレッチングなどが適している
- 疲れや張りを感じている場合には、5~10分程度の短時間のアイシングをしてその症状を沈静化した後に軽運動が有用
- 「投球後には、どんな場合でもすべての人が肩肘にアイシングするのがベストな考え方ではない」ということを認識する
- 闇雲なアイシングを促さない提言については、他の野球書籍でも目にすることがありました。該当箇所でも著者の方が述べられていますが、科学的な結論はまだ出ていないように思えます。ですが、炎症症状のあり・なりによってアプローチを変えたり、応急処置目的なのかトリートメント目的なのかで、アイシングの活用を方法を分けるべきであるという考え方は腑に落ちる内容でした。
- 闇雲なアイシングを促さない提言については、他の野球書籍でも目にすることがありました。該当箇所でも著者の方が述べられていますが、科学的な結論はまだ出ていないように思えます。ですが、炎症症状のあり・なりによってアプローチを変えたり、応急処置目的なのかトリートメント目的なのかで、アイシングの活用を方法を分けるべきであるという考え方は腑に落ちる内容でした。
- 疲れを取るには交代浴も有効
- 交代浴のやり方は、イメージとしてはサウナと水風呂を交互入る感じ
- 冷水浴に入った際には血管が収縮し、温浴に入った際には血管が拡張することを交互に行うことで血流のめぐりがよくなる
- 体内に蓄積した代謝産物(疲労物質)の除去につながり疲労回復に有効
- 交代浴は乱れた自律神経をコントロールするためにも有用
- つい最近「人生を変えるサウナ術」を読んだばかりの私にとっては、非常に頷ける内容でした。サウナに気楽に行けない小学生~高校生あたりの子供たちにとっては、交代浴をぜひ薦めたいですね
本書を読み終えて
内容として、本書は野球関係者にとって学ぶべき領域のトピックが豊富に語られています。
アイシングの必要可否、睡眠に関する考察、目的別の筋力トレーニングなどは、少年野球指導に関わる方であれば理解しておいたほうが良い内容と考えています。
少年野球、中学野球指導者の方は是非御一読ください。新たな知見を得られることは間違いありません。