涙の先に見えた笑顔 その二

長男が先発で登板し大敗した新人戦二回戦の記録をこちらのページで書かせて頂きました。

その大敗の経験から一週間後、今度は6年生が最高学年となる大会が行われます。

その大会において、少しずつ長男の成長が見え出します。今日はその事について書いていこうと思います。

急当番での中継ぎ役

大敗を喫した翌週土曜日、6年生を最高学年とした大会が行われました。

当然6年生主体のスタメンとなるため、長男はセンターにて出場します。

6年生メンバーはピッチャーができるメンバーも多く、6年生のみで継投していくものと思っていたのですが、予想を外して5回に急遽当番することになりました。

打たせて取る投球術ができ始める

3-2の1点ビハインドでマウンドに立つことになった長男。バッターは三番からのクリーンナップからでした。

立ち上がりとなる三番バッターの初球はしっかりとストライクを取る事ができたものの、3球目を左中間に打たれシングルヒットとなります。

ですが、次の四番バッターはサードゴロでしっかりと抑えワンアウト。

5番バッターはサードへの強いゴロが股の間を抜けレフト前ヒットとなります。

これがきっかけで三番バッターが返り1失点。

先週の長男をイメージからすると、また連打を浴びる可能性も考えられましたが今日は違いました。

次の六番バッターをピッチャーフライに打ち取り、塁を飛び出していたファーストランナーを一塁送球でアウトにします。

これでダブルプレーとし、1失点で切り抜ける事ができました。

一回1失点の及第点

結果的には試合は6-2で敗れはしたものの、長男の緊急中継ぎとしてはまずまずの出来だったのではないかと思っています。

後で聞いたところ、当番する事は聞いていなかったらしく、本当に急遽の当番だったようでした。

投球準備をしていなかったことを考えると良く投げた方だったのでは無いかと思います。

そしてピッチャーとしての成功体験を

そして翌日。

この日は本来三月に行われるべきだった地区大会の三位決定戦が行われました。コロナの影響で先延ばしになっていた一戦です。

この日も6年生主体のスターティングメンバーとなり、長男もセンターで出場します。

(私自身は低学年を指導していた関係で応援に行けていませんが、スコアブックの結果と聞いた話を交えお伝えしていきます。)

夏の大会のリベンジなるか?

この日の相手は、夏の大会で敗戦となったチーム+別チームの連合でした。

相手チームは夏の大会で我々を破った後、優勝しているチームである事から、この日の試合も一筋縄ではいかない事が予想されていました。

若干悲観的な妻の予想では、

「きっと勝てないよ…。」

という感じで、お母さん方の中では不穏な空気が流れる中、試合は始まります。

先輩エースから引き継ぐ投手戦

この日の先発は当然6年生エースです。

彼は6年生になり、球速、球のキレ、コントロールどれをとっても成長していました。

そんな6年生エースが素晴らしい投球をしっかりと見せてくれた立ち上がりとなります。

二回1失点での当番

6年生エースは初回の先頭と二番バッターにヒットとツーベースを浴び1点を先制されるものの、その後は立ち直り完璧な投球を見せてくれます。

三番以降はノーヒットでこれ以上の失点をする事なく二回1失点の好投で長男へボールのバトンを渡します。

しかも二回の裏では、下位打線の5年生メンバーが奮起し、先頭バッターがヒットで出塁すると、八番打者だった長男がタイムリーツーベースを放ち、1-1の同点とします。

6年生エースからの交代は、試合振り出しに戻した1-1の状態から始まりました。

安定した投球で味方の援護を待つ

この日の長男の最初の打者は、先程タイムリーツーベースを打った二番バッターです。

この日好調だったのか、ファーストへの内野安打でノーアウトでの出塁を許します。

しかしその後の事です。

スチールを許し、ノーアウトランナー二塁のピンチで長男はセカンド牽制を仕掛けます。

相手ランナーは盗塁を考えていたのか、帰塁に間に合わなかったようでタッチアウト。

この1アウトは大きい意味を持つアウトだったかもしれません。

しかしその後もピンチは続きます。

次の三番バッターはサードのエラーで出塁を許し、ワンアウト1塁となります。その後、当然のようにスチールを決められワンアウト二塁となります。

ランナーを背負う中でのピッチングで、四番バッターには四球を許してしまいます。

これでワンアウトランナー一、二塁。

次の5番バッターを相手に投げた5球目はショートへ転がっていきます。

打球の当たりが良かったのか、二塁ランナーをサードがタッチアウトし、何とか三塁を踏ませずツーアウトを取る事ができました。

しかし、四球を許した四番バッターに三盗を決められツーアウト三塁となります。

一打逆転の状況で6番バッターが打席に入りました。

カウント、ワンボールワンストライクで投げた3球目、打球はセカンドゴロとなりこれでスリーアウト。

何とか無失点で切り抜けた三回表は逆転に繋げるきっかけになった回のようでした。

6年生の底力、逆転のツーベース

三回の裏は一番からの高打順で、先頭バッターがセンター前で出塁すると、三番の6年生エースが逆転のタイムリーツーベースを放ちます。

これでいよいよ1-2となりました。

一点リードで次の回のピッチングを迎えます。

下位打線を三者凡退に

この回の先頭バッターは7番からとなります。

逆転をした後の守りとあって、何とか無失点で切り抜けたいところですが、その役目を長男がしっかりと担ってくれました。

7番バッターはセカンドゴロに抑えましたが、次の8番にはセンター前にヒットを打たれてしまいます。

またもランナーを抱える事になった展開ですが、9番をファーストフライに抑えます。

更には塁を飛び出していたのか、ファーストランナーをタッチアウトとし、結果的には三者凡退でこの回を切り抜けました。

自分のバットで追加点

そしてその裏、七番バッターの出塁に続き八番の長男に回ってきます。

この日の長男は打撃も好調だったようで、4球目を打った打球は左中間へ飛んでいきます。

この当たりがタイムリーツーベースとなり、これで1-3となりました。そして時間制限により、いよいよ最終回を迎えます。

もう一度エース再登場で三振を

五回の表、バッターは一番からの高打順でのスタートです。

三番手として代わったリリーフがいきなりスリーベースを打たれます。更にはワイルドピッチも続きこれで2-3の一点差に詰め寄られます。

ですが、ここから何とか立ち直し、四球を与えながらもツーアウトまで漕ぎ着けます。

そしてバッター五番となった後、もう一度エースに交代します。

ここで五番との勝負は避けて六番と対戦し、見事三振に切って取り、この日の試合を勝利で終えることができました。

初めて自分の力で手にしたメダル

この日の試合に勝利した事で三位入賞となり、長男は銅メダルを獲得する事ができました。

メダルと賞状の授与の後は、部員みんなで記念撮影です。

記念撮影のタイミングには私もグランドに駆けつけ、子供達の満面の笑みを見ることができました。

やっと自分の力でメダルが取れたよ

写真撮影の後、帰宅の途に着くために車の中に入ります。

そして少し疲れた様子の長男を乗せ、車を走らせます。

軽い談笑の中、ふと長男が呟きました。

「やっと自分の力でメダルが取れたよ。

前のメダルは上級生が取ったメダルだから、いつか自分の力で取りたかったんだ。」

その言葉を聞き、長男の目標としていた事がまた一つ叶ったのかなと思うと私も嬉しくなりました。

「そうだね、おめでとう。

今日の勝利は(長男)の頑張った結果だよ。

来年は(長男)の代だから、またメダルを取れると良いね。」

嬉しそうにメダルを眺める長男に、私はそう伝えました。

一つ一つの積み重ねの先に

長男は小さな積み重ねをコツコツとクリアしていくタイプの子供です。

正直に言って、ずば抜けて速い球を投げることもできる訳ではなく、周りから見ればそこら辺にいる普通のピッチャーだと思います。

ですが、日頃の練習を積み重ね、ピッチャーをやりたいという目標を胸にこれまで頑張ってきた成果が、この日、一つの結果となって現れたのかなと思っています。

チームの同級生の中には、怪我で投げられない子や、急成長している子供もいます。

今後はライバルがいる中でも、今の背番号を持ち続けられるように、長男が努力を続けてくれることを期待しています。

また、その願いが叶うように、私も少なからずその支えとなれるよう頑張っていきたいと思います。