甲子園強豪校の880日トレーニング論

ここ最近は野球に関する書籍を読み漁っておりまして、そのうちの一冊です。アスレティックトレーナーの方が書かれた一冊ですが野球指導者の方にとっては学ぶ内容が多い一冊です。

本書を読もうとしたきっかけ

日頃から少年野球に役に立つトレーニング法や、考え方などを学ぶようにはしているのですが、その中で本書に出会いました。

甲子園へ現実的に導いた経験のあるトレーナーの方がどういった考えに基づきメニューを組むのか、指導をするのかという点を学ぶべく読み進める事にした一冊です。

著者について

塚原謙太郎さんという方が書かれた一冊です。当人も野球経験者であり、引退後にアスレティックトレーナーを志されました。

プロのアスレティックトレーナーになられたあとは健大高崎、花咲徳栄高校など強豪校にて高校球児の指導に御尽力なさっている方です。

読書からの学びや気づき

  • 高校野球は880日の勝負
    • 「高校三年間」は実質的には1年春から3年夏までの2年半しかない。日にちで数えてみると約880日。この880日をどれだけ意味のあるものにするかによって、最後の夏の結果が変わってくる
  • トレーニングの三本柱
    • 柔軟性向上
    • 筋力強化 体力強化
    • スピード強化
  • 「筋力×スピード=パワー」
    • 両者を高めることが高い出力を生む
  • ルーの法則
    • 「筋肉は使わなければ衰え、適度に使えば維持・発達し、過度に使えば障害を起こす」
    • 8つの法則
      • 過負荷の原理:負荷を上げることで向上する
      • 特異性の原理:トレーニングの刺激に対してのみ向上する
      • 可逆性の原理:トレーニングを休止すると元に戻る
      • 全身性の法則:局所的に鍛えるのではなく全身を鍛える
      • 反復性の法則:継続し続けることによって向上する
      • 自覚性の法則:どこを、どうやって、どのように動かしているかを意識する
      • 個別性の法則:個人の能力によって、メニューは変わる
      • 漸進性の法則:常に一定ではなく、徐々に負荷をかける
  • 3つの「ジリツ」
    • 自立・自律・時律
      • この言葉はが私もとても気にいりました。少年野球のうちからこの3つの「ジリツ」ができるように指導することは非常に意義のあることと考えています。
  • ティーチングとコーチングのバランス
    • 1年生のうちはティーチングの割合が多く、学年が上がるについてコーチングに移行していく
    • 0はいつまで経っても0であり、何をかけても0にしかならない
      • トレーニングの基礎知識がまったくない段階で、「先輩の動きを見ろよ」「考えてやれよ」と言っても何も伝わらない
  • コーチに必要な5つの資質
    • Comprehension(理解力):自分自身が相手(選手)の性格や能力をどれだけ理解できているか
    • Outlook(見通し):ある程度の見通しを立てておく
    • Character(性格):指導する側のキャラクターを指し、自分の性格を知ったうえで、強みや弱みを認識しておく
    • Humor(ユーモア):真面目一変だけの指導は難しい。ときには笑いをとったり、あえて選手の距離を近づけていくことも必要
  • ウェイトトレーニングについて
    • ウェイトトレーニングの4つの意味と効果
      • 可動域を広げる
      • 連動性を覚えるフォームづくり
      • 筋肥大
      • 関節強化
    • BIG3を正しく丁寧にやる
      • BIG3:スクワット・ベンチプレス・デッドリフト
      • ベンチプレス=平均80キロ以上が目標
        • 甲子園で勝ち進めるチームは必ずと言っていいほど、80キロを超えている
      • 高校生向け重量バランスの計算式
        • デッドリフト:ベンチプレスMAX × 2.3 × 0.8 =デッドリフト1セットあたりの重量
        • スクワット:ベンチプレスMAX × 1.8 × 0.8 =デッドリフト1セットあたりの重量
          • 2.3 × 0.8 =  1.84、1.8 × 0.8 = 1.44  なので、約1,8、1.5弱ないくらいと私は覚えています。本書には記載がないのですが、0.8で少し数値を少なくしている部分が高校生向けなのかと推察しています。
  • コンディショニング面を疎かにしていては、強い身体は作られず、試合でも力を発揮する事が出来なくなってしまう
    • 野球部の練習量を想定すれば、4000キロカロリーを超える
  • クールダウンにこそ時間をかける
    • クールダウンを疎かにすると、筋肉が固まった状態で翌日を迎えることになりかねない
    • 腹筋で腰や背中の筋肉を緩めることができる
  • 「継続に勝るものはなし」
    • 自分ができないことに取り組むには、鮮明な目標と意志の強さが必要になる
    • やらされているうちは、本当の意味での成長にはつながっていかない。最後にやるかやらないかを決めるのは自分次第。あきらめた瞬間にそこで成長は止まる
  • 「人に会え、旅に出ろ、本を読め」
    • 自分自身の興味関心を広げることが、必ずや自己を高めることに繋がっていく

本書を読み終えて

高校球児、特に強豪校でのトレーニングやコンディショニングの方法、目安、考え方を教えてくれる一冊で、とても学びのあった一冊でした。

トレーニング領域だけの話だけでなく、栄養をどう取るのか、自分の行動をどう律するのかなども書かれており野球指導者を心がける人にとっては読んでおいた方が良い一冊です。

現役の高校球児のみなさんもトレーニングやコンディショニングの基礎が良くまとめられている一冊ですので読むことオススメします。

私は少年野球を教えている立場ですので、この内容から小学生に向けてどう活かすかを考えていければと思っています。

Kindle Umlimitedで読みましたが、自宅に置いておいて保存版にしておきたいくらいオススメの一冊でした。