何年生から野球を始めるべきか
少年野球を始めるにあたって、一番ベストの時期というのは何時ごろなのでしょうか。
約四年、少年野球に携わらせて頂いた経験を踏まえ、今回は私なりの見解を記事にさせて頂きます。
まず正解は「子供がやりたいと言った時期」
始めに私が考える正解から書かせて頂きます。
野球を始める一番ベストなタイミングは、
子供の方から野球をやりたいと言い出した時期
だと考えます。(当たり前と言えば当たり前ですが…。)
少年野球を数ある中の習い事の一つとして捉えると、辛いかつ大変な部類に入ります。そのため、子供達自身が続けたいという意志を持って始めないと続けるのは簡単でありません。
「お父さんが野球をやれって言ったからやった。」
とか、
「お兄ちゃんが入ったから、僕もやらないといけないと思った。」
というような理由は、他人任せの理由になってしまっていて、少しでも辛い事があると辞めてしまうというようなリスクがあります。
ですので、子供が「自分の意志」でやりたいと言ってくれた時期が一番だと考えます。
もちろん野球をやってみたら面白かったから、辛くても頑張るんだと言ってくれる子供達もいますが、どこかのタイミングで野球を続ける動機が、
「ぼく・わたしがやりたいからやる!」
となるように方向転換が必要です。
自分の意志が成長を加速させる
興味深い例として、私の所属するチームの卒業生のお子さんのケースがあります。
お父さんがサッカーコーチ、そしてお兄ちゃんもサッカーをやっていた関係で5年生までサッカーをやっていたのですが、野球がやりたくてサッカーを辞めて野球を始めたという子がいます。
始めの数ヶ月は経験不足から試合にでれない日々が続きましたが、高い身体能力、野球が好きだと言う気持ちと本人の努力により、最終的にはレギュラーを勝ち取りました。
現在は中学2年生でかなり高い存在感を示していると伺っています。
この例からも、本人の意志の重要性がお分かり頂けるのではないかと思います。
成長度から見る野球の開始タイミング
さて、ここからは視点を変えたお話しをさせて頂きます。
今度は指導する立場から見て、子供達の成長度を考えるといつ頃には入部してほしいかという目線からの私なりの見解です。
「三年生」がターニングポイント
私が考える指導者目線での入部して欲しいタイミングは、
「小学校三年生」
であると考えています。
いくつか理由があるのですが、一つずつお話をしていきます。
三年生なら型からしっかり教えられる
私は野球を続けていくにあたり、まず最初に学ぶべきは型(フォーム)だと考えています。バッティングにおいてもピッチングにおいても基本となる型はあります。
将来的に身体が成長した時に怪我をしにくく、対外的にみても違和感の無いフォームでしっかりとプレーできているかは、野球のやり始めの時期にしっかりと型を身につけられたかによると私は考えます。
ですがその一方で、この型を覚えるには相応の時間がかかるとも考えています。
私の経験則から言えば、これまで運動経験がなく、かつ野球も初めてという状態で入部する場合には、1年かけてようやくまともになってきたかなという感じになるといった具合です。
三年生であれば、まだ試合に出る機会も少なく、高学年とも別で練習が組まれる可能性が高い学年になりますので、フォームを覚えるといった練習にも時間を費やすことができます。
これが入部タイミングが四年生以上になってくると、実践形式の練習の時間に割く比率が高くなり、多少フォームが悪くても気にされなかったり、逆にフォーム修正ばかりの指導をされ試合に出る機会が減るという可能性が高まります。
このような状態をなるべく避けるためにも、三年生というのは、入部を考えるのにも丁度良いタイミングであると私は考えています。
これが入部のターニングポイントが三年生である理由の一つ目です。
少年野球のメインの季節は夏
三年生が入部のターニングポイントであると考える二点目の理由をお話しします。
当たり前じゃないかと思われる方もいらっしゃる方もおられるかともおもいますが、少年野球の重要な大会は夏に開催されます。具体的には8月の中旬から9月の頭にかけてです。
つまりは6年生になったすぐ、もしくはなる直前の春休みには大会は始まっていきます。
とすると、6年生という年次はこれまでの集大成を示す一年になると捉えても良いでしょう。
と考えると、指導をする立場としては、6年生の初めまでには、試合で戦えるレベルに技術熟練度を高めてあげたいと考えます。
5年生の3月までを照準としてスケジュールを逆算すると、3年生の4月から少年野球を始めた場合約2年となります。
この2年という期間が、少年野球を指導する上で、可能であれば確保したいと考える期間にあたります。
私の中で6年生に“なる”段階で、試合で活躍できるまでに、各段階で子供達へ到達してほしいゴールイメージがあり、概要的に記載すると以下の通りとなります。
- 少年野球開始から最初の1〜3ヶ月
- チームに慣れる、基礎的な野球のルールを学ぶ
- チームの中での友達作りや集団行動の中での礼儀や役割を理解する
- 野球の楽しさを理解する(細かい動作や動きは気にせず、色んな野球のプレーを楽しむ)
- 少年野球開始から1年程度
- バッティングのスイング型の理解
- 走塁の基本(リード、盗塁)
- 投球動作の型作り
- フライキャッチや捕球姿勢、無理のないスローイング動作
- 少年野球開始から1-2年程度
- より実践を意識したバッティング
- 試合にも通用する投球や守備動作
- 各種ケースや中継プレーの理解
個々のお子さんによって到達タイミングは当然異なりますが、上記の期間設定は経験則に基づくものであり、これまで指導してきた子供達の傾向的にも大枠確からしいと判断しています。
上記を踏まえ、野球未経験+運動経験無しの状態から、実践(試合)で通用する状態にまでに到達するには、やはり2年程度は必要だと考えます。
以上が三年生がターニングポイントであるとする理由の2点目です。
色々な意見を聞いて取捨選択を
今回書かせて頂いた内容は、私個人の意見であると共に、視点が少年野球に閉じている面があります。
小学生のうちに試合にでて、しっかりと活躍してもらいたいという目線から三年生をターニングポイントとしていますが、長い目で見て中学・高校と野球を続けていくという目線で見れば、当然この限りではありません。
四年生や五年生、中学校から始めたプロ野球選手も数多くいます。ですので、今回の記事はあくまで考え方の一つとして捉えて頂ければ幸いです。
納得した意見を採用し成長に役立てる
私は万人に共通する指導方法は無いと考えています。ある程度の分類やタイプ分けはできたとしても、その子に合った指導方法は実際に指導を行ってみないとわかりません。
今回は入部タイミングというトピックでしたが、そのトピックだけとっても考え方が多数存在するのが実態です。
このように野球指導にあたっては様々な方法論が存在します。そして、その内容や考え方も時代によって変わりますし、人によって重要視している観点が異なります。
そのため、今の時代を生き抜くにあたり、情報を取捨選択するという能力が重要になってきます。
子供達の中でも、“しっくりくる”指導方法があると思いますので、是非その“しっくりくる”という感覚は大事に持っておくようにして下さい。時には保護者の方が、指導者の考え方が理にかなっているか確認するのも良いかもしれません。
是非、色々な情報に触れ、自分が納得のいく方法論を選択し、成長に役立てて頂ければと思います。