ゼロからつくるビジネスモデル
春頃から読んでいた一冊がようやく読了を迎えました。
今回は「ゼロからつくるビジネスモデル」という書籍からの学びをまとめていきたいと思います。
前々からビジネスモデルに関する勉強はしてみたいと思い手にとった一冊が本書です。
もっと少年野球界を便利にできるサービスを考えたいなぁとは思っているのですが、まずはInputからということで読み始めました。
著者について
井上達彦さんという方です。現在は早稲田大学商学学術院の教授をなさっている方で、本書以外にも「模倣の経営学」、「ブラックスワンの経営学」など経営やビジネスに関わる著書をなどがあります。
読書からの学びや気づき
ここからは読書からの学びや気づきを書いていきます。
ビジネスモデルの基本
- アイディア発想は技術
- アイディア発想は技術であり、訓練を積めば、かなりの程度習得することができるようになる
- イノベーションとは
- 「有りものと有りものを新しい形で結びつける」こと
- 「経済活動の中で生産手段・資源・労働力などをそれまでと異なる方法で結合」すること(ジョゼフ・シュンペーター)
- 無から有を想像するということではない。すでに世の中にあるものでよい
- 私はこれまでイノベーションについて完全に誤解していました。何か世の中にないものをババーンと生み出すことであって、それができる人がイノベーターだと思いこんでいた節がありました。今有るものと有るものを新しい形で結びつけることで良いと考えると、起業や新サービスを考えたいと思っている人にとってはかなり気が楽になるのではないでしょうか。
- 5つの新結合の種類
- 新しい製品・サービスの開発
- 新しい生産方法の開発
- 新しい市場の開拓
- 原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得
- 新しい組織の実現
- 新結合に社会的な価値があることがイノベーションの条件である
- 3つのイノベーション:製品、プロセス、ビジネスモデル
- 製品イノベーション
- 製品そのものの新規性に関わるイノベーション
- 新しい技術を活用したり、素材や部品を工夫したりすることで、従来にはない画期的な製品を作ること
- プロセス・イノベーション
- 開発、生産、物流などにかかわるもの。「流れ作業生産方式」や「かんばん方式」などが有名
- ビジネスモデル・イノベーション
- 顧客に価値を届ける仕組みにかかわるイノベーション。個々の要素にとどまることなく、いくつかの要素が連動して引き起こされる革新のこと
- 製品イノベーション
- ミッションとビジネスモデルの関係
- こちらを御参照下さい。
分析から発想への「飛躍」
- 良い模倣と悪い模倣
- 良い模倣:社会に迷惑をかけない創造的な模倣
- 悪い模倣:法律に抵触するような模倣
- 模倣はイノベーションへの道筋の途中にある
- 守破離の如く師から徹底的に倣う
- 模倣のニュアンス
- 「移転する」というより自分のこととして向き合っている
- 「参考にする」というよりも真剣である
- 「拝借する」というよりも、自分のものにしようという意思を感じる
- 「アナロジーする」というよりりあるで、実行を伴う
- 模倣のニュアンス
- ヤヌスコーン
- 過去と未来の双方に目を向け、過去に起こった出来事から将来起こりうる出来事を予測しようとするもの
- ヤヌスコーン3つの特徴
- 過去のトレンドから未来を予測する
- 定性的なフレームワークである
- 印象に残った出来事を記入しながら未来を予測していく
- 簡便さを武器にしている
発想をカタチにして検証
- 「分析・発想・試作・検証」のサイクル
- 分析:アイディア発想に先立ち、調査して分析する。大きな問題については細かく砕いて整理する
- 発想:「分析」によって事実を整理できれば、何が大切か明らかになる。整理した事実をもとに創造的に「飛躍」させて発送する
- 良い意味での「論理の飛躍」が必要
- 顧客企業やその利用者だけを見ていてもダメ。トレンドをどう読むかが大切
- 試作:「発想」によって「考え」がひらめいたら、それを形にしていく
- 検証:「試作」をつくり、市場に受け入れられるかを実際に確かめる
- これらのサイクルの考え方は、システム開発におけるアジャイル開発(スクラムについてはこちらをご参照下さい。)や、リーン・スタートアップといった思想とも親和性が高い認識です。この「分析・発想・試作・検証」のサイクルを確実に実現・実装できるようにうまれたものがこれらの思想であり、ICT業界においても主流になりつつある考え方であると理解しています。
ビジネスモデルの発展的学習
- 好循環を作る
- 次代を担うビジネスを生み出した起業家たちは、大なり小なり好循環の仕組みをイメージ出来ている
- システムシンキングの画期的な点
- 矢印で結ばれる箱の部分が「数値で表されるもの」でなければならない
- 原因と結果という直線的な関係ではなく、循環的な因果関係でループさせる
- オズボーンのチェックリスト
- 代表的な作品、理論、ビジネスがどのような発想から生まれたのかを特定する
- オズボーンのチェックリストは本書でも表を提供してくださっていますが、近しい内容がアイデア総研さんのWebページにありましたので詳しくはそちらを御覧ください
- 代表的な作品、理論、ビジネスがどのような発想から生まれたのかを特定する
- ビジネスモデルを作るための4つのアプローチ
- こちらの記事を参照下さい。
本書を読み終えて
そもそビジネスモデルとは何なのか、どういった方法でビジネスモデルを考えていくのかといった、WhatやHowにもしっかりと答えてくれる一冊でした。
本書の対象者は経営を専門に勉強をされている方向けというよりかは、ビジネスモデルのイロハを学びたいビジネスマン向けかなという印象です。
事例も豊富でかつ最近(活躍や成長している企業)の事例が豊富で、事例紹介においても近年の状況を踏まえた内容となっており満足しています。
また、本書の中でビジネスモデルを作るためのアプローチやフレームワーク、思考法を複数紹介してくださっているのですが、その考え方はビジネスモデルを生み出すという観点だけでなく、一般的なビジネスにおける問題解決においても活用できるのではないかと感じています。
本書はビジネスモデルを学ぶ上でまずどういったことを理解しなければならないのかを教えてくれますので、本書をきっかけにさらに興味を持たれた方は、より専門的な書籍に挑戦されるとよいのではないでしょうか。
良い学びのあった一冊でした。