オフショアリングにおける大切なこと(1)
オフショアを成功させるために一番苦労したこと
ここ数年、私は情シス担当として、オフショアリング案件を対応させて頂いています。
その中で、周りの方から良く聞かれる事として、
「オフショアを成功させるために一番苦労したことは何ですか?」
という質問があります。
人によって答えは様々かとは思いますが、私個人としての考えは以下であるかと考えます。
それは、
「これまでサポートを受けてきた(現場担当者の)方々に、オフショアができると信じてもらう」
ということです。
良くあるオフショアリング検討を開始するケース
情シス担当が関わるシステム開発において、良くあるオフショアリング検討を開始するケースとしては、以下が考えられます。
- ベンダA社にシステム開発を発注しリリースまで完了。安定するまで保守を依頼するも、主要機能の開発を終えたため、開発案件が減り、A社の体制を維持できず保守の打ち切りを打診された
- 開発ベンダから直接保守を受けると単金が高くつくため、マネジメント層からベンダ切り替えを指示された
- これまで内製で運用保守をしてきたものの、実社員が行うより、オフショア先に発注した方が安いことからコスト削減のためにオフショアを検討することになった。
他にもあるかもしれませんが、どのケースにおいても、これまでサポートを受けてきたのは我々自身であるため、社内の同プロジェクトに関わるステークホルダーを納得させる事が出来れば基本的にはオフショアは成功できると考えらえます。
つまりは、
- マネジメント層
- 現場担当者
の両方を合理的に説得できれば、オフショアリングは実現できるということになります。
オフショアリング実行に向けて
マネジメント層、現場担当者の方々を説得するにあたり、私達は、
- Quality
- Cost
- Delivery
の3つの観点に基づいて、オフショア先を評価しオフショアリングの可否判断を行いました。
もう少し厳密に言うと、基本的にオフショアリングは、コストが下がる前提で話が進む事から、QCDのうち、Costの話はあまり議論になりません。
さらにはマネジメント層からみれば、コストが削減されることが重要な観点となるため、現場のメンバーが問題無いとするならオフショアしても良いと言う事になります。
ということは、現場担当者の方に向け、残ったQとDを評価すれば良い事になり、マネジメント層に対しては、オフショア先が現場担当者が認めるQualityとDeliveryを提供できる実力を有しているということを説明すればOKと言うことになります。
そこで私達は、QualityとDeliveryの2つを定量的に評価することで、オフショアリング先が、確かにこれまでと同等のレベルのサポートを提供できるということを示し、オフショアリングを行うに至りました。
次回は、私達がQualityとDeliveryを評価するためにとったアプローチを紹介したいと思います。